当時、「食」に関する事といえば、どこどこのお店の料理は美味しいとか、行列が出来たとか、
いわゆるグルメに関する事が中心でした。
「食」の大元である農業や漁業の実態や「食の安全性」について語られる事は、皆無に等しく
農業や漁業の話題がメディアに登場する事も殆どありませんでした。
身近に農業や漁業を生業にされている人が、いなかった事もあり、「食」の大元である生産の
現場から実践して知る事から「食」を見直そうと始めたのが「無量庵」でした。

そして、この十年、「食」の原点から考えるという事は、当たり前の事となりました。
BSE問題や残留農薬事故、TPPやさらに原電事故により、「食の安全性」や「日本の農業・
漁業の在り方」について、メディアで報道されない日が無い時代となりました。

ここで、この十年の節目にあたりの今後のテーマを改めて考えたいと思います。

当時、テーマとして実践していこうと考えていた事で、この十年の間に新たに実践出来た事が、
「畑で野菜を栽培する事」でした。
サイトを立ち上げる際に、生業でない農業として実践していきたい事として、地域農業と環境を
考える何人かのグループが農家を中心とした野菜つくりを行うという事を目標にいたしました。
「無量庵 地の巻 浦和の畑・上州の畑」にあるように実現する事が出来ました。
さらに、もっと多くの場所やもっと多くの農家の方との提携が進み、「無量庵」の主旨を大きく
超える活動となった為、こちらは新たな別のサイトでオーナー制度によるシェアファームという
形で進行中です。
これも、「無量庵」サイトを通じて様々な方と出会え、同じ思いを持った方との「絆」により実現
出来た事だと思っています。

新たな節目でのテーマとして「都会で出来る循環型菜園」を考えていきたいと思います。
これからの安全な食を考えると他人まかせには出来ず、極力自給自足が必要となってくるように
思われます
また、少ない資源と限られた土地を有効に活用し、日常で誰でもできる野菜つくりをさらに実践・
研究していきたいと思います。
たとえば、コンポストと公園の落ち葉を利用した堆肥による「屋上菜園」や「坪庭菜園」など。
誰でもすぐに実践できる事でもあり、多くの人が実践する事で互いの知恵や工夫を共有する事が
出来るかもしれません。
また、この事により環境問題を改善するようなきっかけとなったり、世界で一番残飯を棄てる国
から脱却出来るかもしれません。

時代は、大きく変化していきます。
野菜つくりひとつにしても、当時はせいぜい市民農園で野菜をつくる事しかありませんでしたが
オーナー制度やシェアファーム、さらに農家では無い一般の方が作った野菜を販売する事さえ、
可能となりました。

実践する事、その為には「知る努力」と「自己責任による選択」が必要です。
さらに、一人ではできないという事、同じ想いを持った方々との連携が欠かせません。

今後、どこまで継続できるかはわかりませんが、十年の節目にあたり、ご縁を頂き「絆」を持つ
事が出来た皆様と今後もさらに連携し、「食」についての実践と思考を深めたいと思います。
今後とも「無量庵」をよろしくお願いいたします。




2012年2月2日でサイト「無量庵」は十年目を迎えました。