NO.003

■ 聞こえてるわよ

NF倶楽部では、通常作業は正午で終わる。合図は休日のみ走るSLの汽笛の音が11時半、
正午になると昼のサイレンが鳴る。いつもそれを合図になんとなく作業は終了する。
その日、サイレンを聴いたUKIはNF倶楽部の主催者に「サイレンなりましたね」といった。
ところが、返事が無い。
耳が遠いのかなと思ったUKIは主催者の近くにいってもう一回「サイレンなりましたね」
返事が無い。もっと近くによって大きな声で「サイレン・な・り・ま・し・た・ね」といった。そうしたら、
主催者は振り返り一言
「聞こえてるわよ!!」
どうやらなかなか芽が出てこない落花生のようすが心配で雑草を丹念に取り除く事に熱中して
いたらしい。

NO.004

■ 吹けよ嵐、呼べよ雷鳴り!

ある年の秋、UKIは勝浦に釣りに出掛けた。沖に出るとにわかに雲が立ち込め風がふいてきた。
竿を出したら雨、そのうちに遠雷が聞こえる。とても嫌な事が頭をよぎる。
出掛けの時、我が家人あけぴょんの機嫌はとっても悪かった。前日に「明日釣りだから」といった
からである。
(もっと前にいうと行けない時がある)出掛ける直前に一言「吹けよ嵐、呼べよ雷鳴り!」と発した
からである。

その遠雷がだんだん近づいて来る。そのうち頭上までやってきた。
頭上の雷鳴りは遠雷とはいわない。なんかちょっとまずいんじゃないのと思ったら、頭上で雷が大炸裂、
釣りどころではない。早々に船は港に向かう。早上がりという奴である。
ちなみに、同日金沢八景から釣りに出掛けた友人は暴風雨の洗礼を受けた。とばっちりである。

NO.005

■ どぢやう汁内儀食ったら忘れ得ず

家人を駒形に連れていった。店の前に来てもどぜう鍋は食べないと言い張る。
彼女には、トラウマがあった。幼い頃、田舎の小川でどじょうを獲った。家に持って帰って金魚鉢で
飼おうと思い、たらいに泳せ水面に顔を出して呼吸をする様子をずっと眺めていたらしい。
翌朝、たらいがなくなっていた。朝食に味噌汁が出た。昨日のどじょうが味噌汁の具になっていた。
丸のどぜう鍋は、その身も美味しいが葱がことの他美味い。UKIは木箱の葱を空にするくらい葱を
堪能する。


で、くだんのトラウマを持つ家人、恐る恐る丸のどぜう鍋に箸をのばし目を閉じて口に入れる。
「どううまい?」
「・・・・」返事が無い。返事は無いが、箸と口は止まらない。
結局、鍋を4杯お代わりをし、葱箱を3回交換した。


こうやって人間は大人になっていくのである。
江戸時代にも同じような情景があったのであろうかと思われるような川柳が上のタイトルである。




前のお話へ 次のお話へ


 心に沁みるお言葉
古来より、日本には言霊(コトダマ・コダマ)信仰というのがあります。
発した言葉自体が生命を持って何かを為すという考えです。
UKIの心に沁みたありがたいお言葉をお伝えします。