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NO,006 |
■ 無用な資料
■ まだ粗大ゴミを自分で新夢の島まで運んで棄てる事が出来た時代のお話である。
■ 義父が亡くなり一人住まいの家を整理した時の事となった。
ともかくも、必要無い品物がところ狭しを置かれ、廃棄しなくてはならない。
その量半端では無い。2トントラック4回分はある。専門の廃棄業者に頼んで
も良いのだが、かなりの金額を請求されそうなので親族で相談し、義弟と一緒
にゴミ棄てをする事となった。
■ 近くのレンタカー屋で2トントラックを8時間借りて一日2往復、これを2回
やればいいんである。調べると東京の場合こんな手順となるらしい。
@ レンタカーを借りる。
A 車にゴミを積む。
B 23区の区清掃事務所で書類申請して書類を貰う。
C ゴミと書類を持って新夢の島に行き、棄てて、廃棄した証明を貰う。
D また清掃事務所に戻ってその日中に書類を渡す。
■ 一日2往復はするぞ!と気合を入れていざ当日、ゴミを積んで清掃事務所へ。
事務所に着くと、ゴミを自分で新夢の島まで持っていく人はあまりいないよう
で、仲間内の空間の匂いがプンプンとする。
どんな匂いかと言うと、どこが受付かわからない。誰が相手をしてくれるのか
わからない。暇な人はダレている。部外者には極めて不親切。スタッフルーム
独特の匂いである。
最近何処でもお客様第一の職場が多く、この間税務署に行ったらカウンターの中の
人全員が立ち上がって「いらっしゃいませ」と言われた時には、ビックリしてたじろいだが、
誰かが入ってきても我関せずといった職場の雰囲気はそれなりに良い。
何とか担当者を掴まえ、書いた事無い書類を記入の仕方を教わりながら書く。
良く事情を知った業者しか来ないので、一般の人にはわからん書類である。
■ 「2往復で出来んの?」と係りの方、先ほどの手順Dをその日中に処理しない
といけない決まりとなっているらしい。こりゃラリーと同じ厳しさである。
と、何だかんだと説明を聞き新夢の島へ。
■ 関係者以外進入禁止の立て札を横目に専用トンネルを潜り、島へ着く。
ゲートがあり、書類を渡すと「助手席の人、降りて!!」と声が掛かる。
何だぁと降りるとメーターが動き始める。
車ごと計る計量機でした。これで廃棄ゴミの値段を決めるんである。
車も運転手もゴミか?と思ったら、その分は差し引かれるよう調整されている
ようである。通常ゴミの運搬車には運転手しか乗らないので降ろされたらしい。
■ で、ゴミを棄て清掃事務所に行って書類を渡し、義父の家に向かいゴミを積み
また清掃事務所に行って申請して・・を繰り返す。
2度目の書類書きは、慣れたせいかスイスイである。
余裕が出来て事務所を見渡すと、良く目立つカウンターに向いた書類の一群が
目に入ってきた。やたら永いタイトルの背表紙である。
何て書いてあるんだろう?と良く見る。すると、こんなタイトルだった。
「作成しろと言われたので仕方なく作成したが到底役に立つとは思えない資料」
UKIはこういう職場好きである。
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