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■ 謎解き古代史独学のススメ

1月

著者:関 裕二
出版:株式会社 文芸社

日本の受験科目から歴史が外れて久しいらしい。
受験対策の為、必須課題である歴史の授業を受けた事にして、他の受験科目の授業を行う
公立高校が多くある事が発覚して問題になっている。こういう姿を見た多感な時代の高校生
は、言っている事とやっている事は違ってもいいんだバレなければいいんだと思ってしまう。
お粗末な事件だが、若者の心に植えつけたものはとても罪深い事件だと思う。

さて、その歴史だが学校で教えない割には愛好家が多い学問である。
日々新しい発見があり、定説が覆る事が多いのもその人気の要因かもしれない。
尤も学校で教えないから嵌る人間が多いのかもしれない。素人が丹念に地域の歴史を調べ、
学者に資料を提供し、また論文を多く提出して初めて「郷土史家」と呼ばれるようになる。
歴史専門誌に投稿し、その内容が面白く、また歴史に裏付けられた内容を基に書いた小説が
認められると「歴史作家」となる。が、けっして「歴史学者」になる事はない。
歴史学者は、大学でその分野を学び、その分野の権威ある教授の教えを受け、そこで論文を
提出し、学府に勤めて初めて「歴史学者」と呼ばれる。
新たな発掘があり、今までの事実が覆されようともそれが歴史学者の指導したもの以外は、
決して認めない。また歴史学者の学説についてはまったく相手にせずに無視する学問である。
いわば、家元制度と徒弟制度に固まった世界であるらしい。
だから、受験の必須課題から外れてしまったのかしら?

まあ、頑張っても注目されない学問だから、皆自由に好きな事を言っても罪にならない世界
らしいので、愛好者が増えるんだろうね。

ところで、本書はそんな愛好者の為に、歴史を学ぶにはどうしたら良いかを説いた本である。
内容は、
・疑ってかかる今の歴史のポイント
・基本知識として読んでおいたほうが良い歴史書
・基礎となる古代史
・「日本書紀」「古事記」「風土記」の読み方
・好きになる動機付け、著者の大好きな「奈良歴史観光案内」
・仏像に見る古代の人の感性
・便利なインターネットの活用法

学校で学ばない学問、だから人は自分の楽しみにとっておく道楽のようなものなんだろう。
しかし、物事の理は、歴史を学ぶことでより深く理解する事が出来る。
今起こっている事の深い根の部分は、古代史を知っていないと正しく理解する事が出来ない
場合もある。その為には、日本や日本以外の古代史を知るが大切であろう。

最後に著者が言っている言葉。
大人とは何か?
大人とは、必要性を感じ自らが選択して学問を始める事である。
なかなか良い言葉である。

















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2007年に読んだ本の中からの紹介です。