日本の農業が必ず復活する45の理由


■ 日本の農業が必ず復活する45の理由

  11月

著者:浅川 芳裕
出版:株式会社 文藝春秋

やたらタイトルの長い本である。
タイトルの長い本は嫌いである。コラムの枠が二行になるのであまり美しくない。

どうせ「日本の農家は根性があり、また、農水省も食は国の根幹を成す大切な産業だから、
補助をより手厚く行う事が大切だ!」みたいなつまらない本だと、思って読んでみると、
やたら長いタイトルとは正反対の「日本の農業はとってもヤバイ」という内容である。
見事な裏切りである。こういう裏切りは大好きである。

「日本の農業はとってもヤバイ」だから、今までとは違う45の新しい事を行う事で日本
の農業は必ず復活するという事のようである。
つまり、今までの事を踏襲していては、必ず復活しないという意味である。
「日本の農業は大丈夫!」ではなく、「日本の農業は復活する」というところが、著者の
トリック(?)である。か、単に私が脳内変換で大丈夫と思ってしまったかのいづれかで
ある。

で、肝心の中身、45の理由の中で特に印象に残ったのがこれ。
 5:日本は農業大国って本当?
 7:農家の高齢化は深刻か
11:食料自給率40%は大丈夫なのか
15:田植えは無くなるのか
25:フードマイレージって何?
39:砂漠で農業が出来るって本当?
44:口蹄疫はなぜ防げなかったのか

15と39はもはや世界の常識で、それを行わない日本の産業としての農業が、ここを読む
と、まるでままごと遊びのように思えてしまう。
また、その他の内容は、本来の意味を挿げ替えて自分の都合に合わせようという農水省の
ごまかしであるといっている。

多分TPPは殆どの国が参加するであろうし、その中で今のままの農業では、立ち行かない
であろう。といって、日本だけ不参加としてもさらに事態はより悪くなるであろう。
ガスや電気の消えた湯船に浸かってこのままでは、段々とお湯が冷めて来るのに少し寒いの
を耐え、湯船から出てバスタオルを巻いて服を着て、暖を取るか、そのまま湯船に浸かって
いるか?

あなたならどちらを取る?




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