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NO,021 |
■ 口福紀行
11月
著者:朝倉 圭介
出版:株式会社 山と渓谷社
つくづく世の中美味そうなものが各地にあるなと思わせるそんな本である。
美味そうと書いたのは、紹介されている殆どの店にUKIは行った事がないので美味そうと
しか書けない。しかし、その文体と写真からは本当にそんな感じが漂って来る。
航空会社の機内誌に連載された小文を一冊の本にまとめ直したものである。
あの殆ど通販の紹介で占められていて、とりあえず誰でも飛行機に乗ったら目を通す大判
の薄い冊子である。特に用も無いのにアテンダントとの会話を楽しもうとするおじさんがその
会話のきっかけに利用するあの冊子である。
機内誌では1話ものなので物足りない感じだったが、1冊の本にまとまると読みごたえがある。
また厚い紙質に馴染んだ写真がなんとも言えない良い風情である。
全国北から南まで25ケ所の「口福」を探して歩くその紀行文は、店名と電話番号も紹介され
ており、旅行のついでにふらっと立ち寄れる配慮が行き届いている。
例えば湘南では、
・三浦半島長者ケ崎駐車場内にある喫茶店のコーヒー
・佐島港漁港前の魚屋のアオリイカ沖漬け
・三浦半島唯一の温泉 大楠温泉
・衣笠「葉むら」の天ぷら
はたまた南房では、
・御宿の民宿「マタエム」の魚
・館山「鮨亭笹元」の地物料理「中村屋」のパン
・富津「はいから屋」の釣り魚料理
・鋸南町「山田屋」のアカザエビ
飛行機に乗らなくても思わず今日にでも行ってみようかと外に出掛けたくなる。
身近にこんな発見があるのかと思わせるそんな本である。
余談だが、著者の本名は佐藤隆介。池波正太郎の食を語らせたら随一の方である。
本名の方がUKIは馴染みがある。読み終えて著者のプロフィールを見てな〜る程と気が付いた。
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