NO.009

■ スローフードな人生!


3月

著者:島村 菜津
出版:株式会社 新潮社

時間に追われた現代人がそそくさと食べるファーストフードに対して、ゆっくりと時間をかけて
楽しんで食べるスローフードを楽しむ会がスローフード協会というのかと思ったら大間違い。
その背後にある大量生産・科学薬品漬けの食材を機械による画一的で合理的な料理、利益
追求型の料理をファーストフードとするなら、大量生産の陰で消滅していく伝統の食材を使って
料理をしたものがスローフードというらしい。
その協会の活動を4年間に渡って取材したのがこの本である。

活動は、大きく分けると3点に分かれる。
1)消えていきつつある伝統料理や質の良い食品・ワインを守る
2)質の良い食材を提供する小生産者を守る
3)子供たちや消費者に味覚教育を行う
それを実行する為に定期出版物の発行や食の祭典といったイベントを行っている。

そもそも協会の出発点は、左派の政治団体だがやっている事はお祭りと宴会で酔っ払う事で
コミュニケーションを図るのが狙いだという。生活の向上という点で政治と宴会が同じ次元で、
語れる文化を持った古い歴史を持つイタリアと比べ、同様に古い歴史を持つ日本を考えた場合、
この活動はちょっと理解に苦しむ点も多い。
文化の蓄積と人生に対する積極性の違いだろうか?




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空の写真 今月の本(2002)
面白かった本などを紹介します。
2002年に読んだ本の中からの紹介です。