NO,014

■ スーパー農学110の知恵

5月

編者:東京農大スーパー農学編集委員会
出版:株式会社 講談社

UKIの友人に東京農大関係の方が若干名いる。
結婚披露宴では必ず披露するというお約束「大根踊り」は初めて見た時「何だぁ〜」と唖然
とし踊りの泥臭さから「大学で何を学んでいるんだろう?」と思いつつも、よく見ると、磨き上
げられた踊りの所作と迫力に最後不思議と感動してしまう。そんな先輩から後輩に受け継が
れた伝統芸能の域にも達する踊りがある。

本書は、そんな「大根踊り」を紹介した本では無く、「大根踊り」で有名な東京農大が創立
110年を迎え、その記念事業の一環として、「大根踊り」だけでは無い農大の魅力とその
内容を幅広く伝えようと企画された本である。
醗酵学や環境学などこれからの地球を考えるのに必要不可欠となる学問や技術開発研究
を行っている110人の研究者の研究成果が綴られている。研究成果というとよくある学会
発表の冊子や論文など一般に人の目に触れる機会は少なく、また目にしてもその道に詳し
くないとなにやらちんぷんかんぷんで分からないものが多い。
が、その面で本書は「ファッションショー」的要素を持った誰でも分かる本を目指し工夫が凝
らされている。

自分の研究分野は何か、社会との繋がりは何処にあるか、落ちをどう付けるか、ページ内に
収まるよう制限された文字数にいかにまとめるかなど研究者一人一人の個性が出ている。
これは「大根踊り」にも言える事だが知っている人でしか理解出来ない専門的な事をいかに
分かり安く伝えるか、また自分の仕事を丹念に情熱を持ち実行しているかそんな東京農大
カラーが伝わる本である。













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空の写真 今月の本(2003)
面白かった本などを紹介します。
2003年に読んだ本の中からの紹介です。