江戸の旅人


NO,015

■ 江戸の旅人

6月

著者:高橋 千劔破
出版:株式会社 時事通信社

古来より日本人は旅行の好きな民族である。
江戸時代、各藩がまとまった合衆国のような状態で互いの出入りは関所での厳しいチェック
があった。その関所の往来は、現在のパスポートやビザより複雑な仕組みの道中手形を、
収得しなくてはならず、自由に旅行する事が出来なかった。がしかし、世の中表と裏がある
ように実態は様々な抜け道がありかなりの人間が往来していたようである。
著書は、公式・非公式に関わらずそんな旅をした江戸時代の旅行の記録を紹介した本である。

登場する人物は、文人・求道者・学者・女人・職務者・異国人・その他 計30人と豊富である。
文人: 松尾芭蕉・小林一茶・与謝野蕪村・十返舎一九・司馬江漢
求道者: 木喰行道・金谷上人・幡隆上人
学者: 貝原益軒・古川古松軒・管江真澄・鈴木牧之
女人: 豊後藩主 中川内膳正久盛 夫人・井上通女・出雲の百姓の娘 とめ きみ そめ ふゆ まつ・
松尾多勢子・皇女和宮
職務者: 伊能忠敬・橘南谿・川路聖謨・松平容保
異国人: 申維翰・シーボルト・シュリーマン・オールコック
その他: 吉田松陰・清河八郎・坂本龍馬・松尾嘉陵・犬目の兵助
以上様々な思いで旅をしたであろうその人物の記録から著者は登場人物の心の中を探って
いる。今は古文書ブームらしいが、そんな古文書ファンにとっては格好の古文書ガイドブック
でもある。














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空の写真 今月の本(2003)
面白かった本などを紹介します。
2003年に読んだ本の中からの紹介です。