GM汚染


NO,029

■ GM汚染

11月

編著:天笠 啓祐
出版:市民バイオテクノロジー情報室

思いがけない突然の恐怖というものがある。
例えば、トイレを我慢してエレベータに乗ったら、故障でドアが開かない。
例えば、知らない間に住んでいる家が、他人に登記され強制立ち退きとなる。
こんな時、あなただったらどうします。

ある時、ある日、ある国で畑を耕していた農家に突然請求書が舞い込む。
特許を取得した、遺伝子組み換え作物を勝手に栽培しているので、損害賠償を
訴えられる。身に憶えの無い事である。どうやら勝手に遺伝子組み換えの花粉
が飛んできて自分の作物に受粉し、ごく一部の作物が、遺伝子組み換え食物と
なったらしい。一般的な常識では、被害者はこの農家である。
が、法廷では特許を取得した企業が勝訴し、結果この農家は全ての作物と畑を
その企業に取られてしまう。また裁判費用として数千万円の費用を支払う事と
なってしまう。
こんな、思いがけない突然の恐怖が、現実的に今世界各国で生まれている。

幸いにも日本には、まだ、その思いがけない突然の恐怖は上陸していないが、
何時訪れても不思議では無い実情を本書は、海外の実例を基に伝えている。
また、すでに輸入作物によるGM(遺伝子組み換え)汚染は、この国に蔓延し
始めている。具体的な汚染の実態として

@ 前述の農家が特許により、奴隷化していく事
A 農薬に強いGM作物を育てるにはより多くの農薬を使用する。それによる、
  人体への影響と、採算割れしてももはや戻れない農家の実態
B そもそもGMがもたらす人体への影響の可能性

が挙げられる。
何故か、日本のマスコミは、この件についてはどこも触れていない。
アンタッチャブルなこの事象が、今後の日本には広まっていくであろう。

どう阻止したら良いのか?
本書は、それのヒントを私たちに与えてくれる。
GM作物については、ヨーロッパは、本家のアメリカと袂を分けてでも、輸入
していない。また、前述の件は、来春にも最高裁判所にて決着が付く。
大いに見守って行きたい。











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面白かった本などを紹介します。
2003年に読んだ本の中からの紹介です。