NO,021

■ 中国てなもんや商社

10月

著者:谷崎 光
出版:株式会社 文芸春秋

ここのところ仕事柄からか、中国ネタの本があったので読んでみた。
単なる偶然か、何も考えないで中国へ衣服生産を委託する輸入会社に勤める事となった
著者の5年間の苦闘と努力の記録である。

よく文化の違いとか、価値観の違い、共産主義の影響のせいか、または日本の異常な
潔癖さのせいか中国との折衝に悉く胃を痛め、神経をすり減らし、怒りをぶちまける日本人
は多いと聞くが著者もその被害者の一人だと言える。

ちなみに本書は、今から10年程前の戦後第一次中国ブームの頃の話ではある。
当時と今ではかなり違いがある。生産性・品質管理など神経をすり減らす要素は、かなり
少なくなってはいるようでもある。その意味では今となったら笑い話とも言える。
が、本質的な部分で、今もしっかりと押さえていなければならない要素は、おおいにあると
思われる。

ちなみに著者も言っている事であるが、日本人にとっていい加減でかなり適当な仕事の
対応をする中国ではあるが、何故かそれを上回る熱気と元気がこの国にはある。
この元気がなぜがこの国と仕事をしている人には伝染るから不思議である。中国との
ビジネスは、苦労はするが結果閉塞感が無い不思議な国との嬉しい出会いでもある。














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空の写真 今月の本(2004)
面白かった本などを紹介します。
2004年に読んだ本の中からの紹介です。