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NO,022 |
■ 中国お皿の上の物語
11月
著者:押田 洋子
出版:東京書籍 株式会社
今回も前のコラムに続いて中国ネタです。
本場の中華料理とはどんなものか?
よく言われる言葉に南淡・北鹹・東酸・西辣という言葉がある。
広東・北京・四川・西安といった代表される地域に根付いてきた料理は、
各々、その土地土地の特長を生かした料理が存在する。なにしろ広大な土地
である。雪が降っているそのさなかに南国の太陽が照りつけるお国柄である。
その様々な料理に魅せられた著者が、本物の中国の美味しい料理を紹介して
いく。ここに出て来る料理は、一般の料理とは違い有名な豪華料理である。
もちろん、同様の料理を日本でオーダーしたら一品数万円はするであろうと
思われる料理ばかりである。
ところで、著者はコピーライターである。その職業からか紹介する料理名は
正確な中国表示と発音に近い送り仮名が付いている。また、紹介する内容や
そのエピソードも要約された文章で伝えたい事を的確に伝えてくれる。
よく日本語の表現として、曖昧で読者が想像し解釈を下していく文体という
のが多いが、また時として、そのような文章が余韻があって良いともされて
いる。が、しかし肝心の焦点がずれてしまう事がある。その意味で著者の文体
は小気味良い文体である。
日本の中華料理は現地での料理のバランスから考えると、広東料理に偏って
いるきらいがある。羊や豆腐や複雑怪奇な調味料などまだまだ知らない本場
の味はかの地にはある。そんな料理をきちんと紹介してくれる本である。
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