NO,007

食べる人類誌

2月

著者:フェリペ・フェルナンデス・アルメスト
訳者:小田切 勝子
出版:株式会社 早川書房

人類の歴史の中で、食べる行為が拾うから始まりどこでも転がっている貝を収穫し、思想と
宗教の影響から何を食べるべきか、シルクロードの交流から食の交流が始まり現代に至る。
こんな切り口で始まるのが本書である。

ところで、この人大変な博学である。
例えば、日本では子供の成育を祝う儀式として、子供が跨いだ餅を切り分けて皆で食べて祝う
という今の日本で知っている人が、殆んどいないこの事実をさらりと文中の盛り込む。
また、日本を訪れた外国人が、まるでままごとのような器に盛られたけっして食欲を満たす事
の無い宴のディナー「懐石料理」(この事自体は実に正しく本質を突いているのだけれど)
が、10世紀の世界的に有名なエッセイ「枕の草子」から始まり、今の関西の日本料理学校に
通じる正当な伝統性の法則を説くなど、こんな事知ってる日本人に巡り会う事が殆んど有りえ
ないような知識のオンパレードである。

こんな調子なので、海外ネタでも本当の事なんだと納得してしまう。へえ〜である。
「食」というキーワードを基に1ページあたり3から4つの博学ネタが満載である。
知識の泉大噴水状態、この本416ページあるので合計1400へえ〜である。
こんなネタ持っていたら、普通の人ならシリーズ10本は書けるだろうにね。と思わず思って
しまう本である。

蛇足だがこの本厚さ5cmはある。UKIに枕本となるとっても大変重要アイテム本でもある。











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2004年に読んだ本の中からの紹介です。