アイルランドB&B紀行

NO,016

■ アイルランドB&B紀行

6月

著者:中澤 潤子
出版:東京書籍 株式会社

伊豆の棚田でいつもお世話になっている民宿がある。
もう20年以上、毎年欠かさず伺っていて、のんびりとした休暇を過ごさせて頂いている。
何がそうさせるのか?
周りの自然と宿の料理、民宿の親爺さんと女将さんの人柄である。もちろん都会では料理だけ
でも、この宿の料金以上掛かってしまう程の宿泊料金の手頃さというのも、大きな要素では
ある。

ところで、海外でも日本の「民宿」にあたるような施設はあるのか?
最も近いと思われるのが、B&Bいわゆる「ベットアンドブレックファスト」である。

比較的治安が良く、自然が残っていて、西欧の田舎といったアイルランド。
最近の観光名所として大変人気がある場所だそうである。そのアイルランド、彼の地の民宿
「B&B」を訪ねた記録が本書である。

ところで、「B&B]とは何か?
個人が経営する宿泊施設、部屋には洗面台が必ず用意されており夕食は無し。
またはオプション、ボリューム満点の朝食が用意されている。
認定制で時々抜き打ちチェックが有り、品質は保たれている。
日本の民宿の場合は、必ず夕食が付く。その殆んどは、地域で決めた献立に基づいた料理が
用意されている。特色を出そうと頑張っている民宿やよほど馴染みにならないと特別な料理には
有りつけない。また、殆んどが、夕食付きなのでチェックインの時間が夕食前となって
いる。
この点の違いはあるが、「B&B」も「民宿」も子供が巣立って部屋が空き、人付き合いや面倒を
見るのが好きなご夫婦、特に、女将さんが切り盛りしているのはお互い共通している事である。

ところで、本書で大変興味深いのは、「B&B」のオーナー方へのインタビューである。
元々ホームパーティの盛んな彼の地であり、宿泊客はいわばゲスト、オーナーはそれをもてなす
ホストという感覚なのか話好きであり、自らを語る事に歓びを感じているようである。
この場所には、こんな建物のB&Bが残され、こんなオーナーがいる。
それがリターナーを呼ぶ事にも繋がり、地域が活性化してくる。
そろそろ、世代替わりをしてくるであろう日本の民宿であるが、同様の観点で日本の民宿を扱った
本が出てきても良いと思う。













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空の写真 今月の本(2005)
面白かった本などを紹介します。
2005年に読んだ本の中からの紹介です。