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NO,018 |
■ 木とつきあう知恵
7月
著者:エルヴィン トーマ
訳者:宮下 千恵子
出版:株式会社 地湧社
昔から大潮の日は、何か特別の事があると言われている。
釣りに行くなら大潮を狙えとか、種を蒔くには満潮の時が良いとか、満月の日は交通事故が
多いとか、色々と言われている。
科学的には解明されていないが、珊瑚の産卵は大潮というのは、間違い無い事実なので何か
根拠があるんでしょう。
そんな大潮の日に木を切るとその木は虫も付かず、無垢材でも木が暴れないと昔からの言い
伝えを実証したドイツの木材屋さんの話が本書である。
北ヨーロッパには、多くの針葉樹が育っている。昔から家を建てる時に使用したその地の木
材を現代的な感覚で蘇らせた著者の行動は、シックハウスに悩む人々から支持され、また、
木材伐採の手段が科学的にも認められ、ドイツではかなり話題となった本らしい。
その手法を簡単に書くと、本格的に雪が降る前、冬の新月に木を伐採し、枝を付けたまま、
梢を斜面の下に向けて半年放置する。その後、雨が当たらないように木材を乾燥させる。
乾燥期間は木材によって違うが1年から4年程度。
その木材は無垢材なのに妙に暴れず、虫も付かず、接着剤を使わずに木組みだけで、組み立
てる事が出来るというものらしい。
古来より日本は、木の文化を伝承してきた。
木材は正しい使用方法により、伐採してからその木の樹齢と同じくらいの寿命がある
と言われてきた。法隆寺しかり、東大寺宝物殿しかり。
しかし今、その木の文化は昔から比べるとかなり衰退している。
室町時代以降、段々とその文化は衰退していったのでは無かろうか?
チョウナで仕上げた柱のほうが鉋掛けの柱よりも強いとか、昔は木を伐採しても筏で川を流
さずに山を曳いて下ろしていたとか・・・
日本とドイツではその気候も違うので一概には言えないが、枝を落さず斜面を梢を下にして
自然乾燥させるその方法は、大変興味深い。
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