NO,004

■ 大好きな韓国

1月

著者:四方田 犬彦
出版:株式会社 ポプラ社

一番近くて隣の国である。
韓国料理を探る本かと思って手に取り、読み始めたら全然違ってました。
軍事政権時代から韓国に行き、客員教授となった著者の目から見た韓国文化と日本
との隔たりを客観的に見た本である。

前半の韓国人気質と世代による日本観の違いは、今まであまり報道されてはいない
内容だと思われる。近くの国でもあり帰下人も多く受け入れている経緯も有り、
ついつい民族的にも同胞という見方をしてしまい勝ちだが、彼らが最も嫌うのは、
一緒にするなという事らしい。
日本は、複数民族の集合体でありその中には韓民族も含まれている。
だから、同じ同胞という気持ちが日本人にはあるが、彼らは純血民族という誇りが
ある。だから、一緒にするなという事らしい。

どこの国の誰でもそうだが、自分を中心にして物事を考える。
日本から見ればそれは日本の視点となり、韓国から見れば韓国の視点となる。
例えば、アジアの地図を逆さに見るとよくわかる。
日本は、例えれば港の前に横たわっている大きな防波堤である。
港から出て行く時には邪魔だし、波を防いでくれるかと思うとそうでも無い。
昔から時々泥棒にやってくるし、外洋からの情報や新商品は、一旦防波堤に荷揚げ
され手数料が上乗せされて港に入る。
つい最近は、やたら怒鳴り散らしながら押し寄せ占拠し、防波堤の言葉を喋る事を
強要させられた。。結局、占拠は解かれ罪を認めるが港の内紛に乗じて商売をして
今では自分達より良い生活をしている。
第一モラルが無い。昔は腰が低かったのだが、今は偉そうである。
あんな外れの防波堤に住んでるいるくせ・・にと思うのは当然であろう。
さらに、そんな目の上のたんこぶのような存在なのに見習う必要も有り、またそれ
を乗り越えなくてはならない。

日本人が陥りやすいのは、自分の視点と相手も同じはずだという「和の心」にある
と思う。この「和の心」は同じ日本人には通じるところがあっても、日本人以外に
は通じないと考えたほうが良さそうである。
主張を通す事は同じでも、前提として相手が同じ考えである事と相手が同じ考えで
は無いので同じ考えにさせる事とは大違いである。
その為にはどうしたら良いか?
何も言わなくてもしなくとも通じるという思考でいる限り、その溝は埋まらないで
あろう。

朝鮮半島は、最後の南北問題を抱える地域である。
拉致問題や、古来の天皇制にも似た独裁国家である北朝鮮の在り方に話題は、集中
しがちだが、いつか必ず崩壊するこの国の難民をどう受け止めるか?
この事に対して議論が出ないのが不思議である。
元々、韓国食探訪を知りたいを思って手に取った本であるが、読み終えた時、一番
気になったのが、この事であった。














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空の写真 今月の本(2005)
面白かった本などを紹介します。
2005年に読んだ本の中からの紹介です。