NO,011

■ 世界一周「台所」の旅

5月

著者:山口 昌伴
出版:株式会社 角川文庫

すこぶるパワフルな本である。
世界中の台所を探る旅に出た著者が探る世界の「台所」事情である。
日本では、富山・広島・岩手・山形・東京、韓国釜山、中国香港・深?・貴陽・安順・昆明
ブータン・ネパール・ボンベイ・マドラス・パリ・ルーアン・ベルギー・イタリア・トルコ
・エジプト・ケニア・アメリカ各国の「台所」事情を探って行く。

どんな台所かは読んでからのお楽しみとして、この著者ちょっと感性が変である。
どこが変かというと、人間生活の営みが突き進んでいくと料理となるという感性である。
例えば、日光浴が一夜干しとなるというのはわかるが、足湯が温泉玉子とか、みそぎが流し
そうめん、ついにはエスティックがべったら漬けになるとはわからない訳ではない気がする
が、良く考えるとまったくわからない世界が拡がる。

人の営みの根源のひとつ、日々の食事を作る処ついでに食べる処。
ここ「台所」、この構造は最もシンプルなところから始まる。それは焚火。
水場でも無く、きざむまな板でも無く、鍋で煮炊きする火のある台所である。そんな各国に
共通する台所を探る旅である。
この本を読んで著者の感性に浸るのは、ちょっと心地良いシャワーのようでもある。



















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2006年に読んだ本の中からの紹介です。