NO,002

■ 身近な野菜のなるほど観察記

1月

著者:稲垣 栄洋 絵:三上 修
出版:株式会社 草思社

凄い本である。
まず、目に飛び込んでくるのは精密な野菜のイラスト。
精細な線と点で構成された無色の正確な野菜の絵である。見れば見る程、のめり込んでいく。
いつまで見ていても飽きない、ある意味で写真よりも正確に思えてくる。
次に、野菜にまつわるエピソードである。
古今東西、野菜のまつわる本や料理の素材としての野菜を書いた本は、かなりの量を読んだ
つもりなのだが、ここで紹介されている野菜の生い立ちや、名前の由来など、初めて聞いた
ものばかりである。多分著者は、言い古されたエピソードや一般に知られている野菜の知識
は丹念に取り除いているのだろう。その上で、今まであまり云われていなかった野菜にまつ
わる話題を抽出し、練り上げた上でコラムにまとめている。また、そのさりげない語り口も
良いね。

その野菜の成り立ちや性格、種族を残す事に対する磨きぬかれた性質など野菜を作るには、
知っておくと野菜作りの奥行きがさらに深まる本である。
いつも傍に置くべき数少ない本であろう。特にお奨めの本である。

しかし、いつも草思社の本はその切り口に感心する。良い本を世に送る出版社だなぁ。

















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空の写真 今月の本(2006)
面白かった本などを紹介します。
2006年に読んだ本の中からの紹介です。