日本人も知らない日本酒の話

NO,028

■ 日本人も知らない日本酒の話

12月

著者:ジョン ゴントナー
出版:株式会社 小学館

何の先入観もない人が、自分で興味を持って勉強した成果がどんなものか?
本書は、それが良くわかる本である。

著者は、単身で日本に渡り、生来の酒好きから夕刻の楽しみとして日本酒を知る。
物事を分析して結果を出す欧米人の志向から、日本人の日本酒の一般的な知識とその実体が
大きくかけ離れている現実を知る。間違っている事は間違っているとはっきりさせるべきと
考えた著者は、その思いをとあるきっかけで外国人向け新聞のコラムで書き出した事を契機
に日本酒の世界にのめり込んでいく。

外国人から見ると日本人は「ゆるい」んだそうである。
良く言えば「和の思想」というべきか、悪く言えば「適当」ともいうべきか。
口で言っている事とじやっている事が全く違う。公の発表と実体が全くかけ離れている。
本音と建前、いちいち目くじらを立てない大人の思想と云えば聞こえはいいが、これは外国
人から見れば、全く理解が出来ない事らしい。
曰く「ゆるい」体質なんだそうである。

著者の行動や物事の考え方は、理知的であり、明確である。
物事を探求するには、そのような姿勢を持つ事で全く違う世界が見えてくるという事が良く
理解出来る本である。
以前にも、日本の実体を気付かせてくれた外国人著者の日本に関する本があったが、時々、
この手の本を読んで、世の中の見方について複眼的に見る癖を付けたいものである。
















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