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NO,013 |
■ 世界食料戦争
4月
著者:天笠 啓祐
出版:緑風出版
今の世界の食料事情を分かりやすく書いた本である。
この手の話は、なかなかマスコミにも出にくい話で初めて聞いた人には、小説のような話と
受け止められるかもしれない。そんな小説のようなお話を読んでみたいと思う方にはお奨め
の本である。
パックスアメリカーナといわれて久しいが、冷戦後のアメリカの次の世界戦略のひとつに、
食料事情がある。増加する人口に対しての食糧難に備えての戦略だが、そこに群がる独占
的な利益を期待する国際企業と、その企業が目指す収益性重視の中で安全性が見失われる。
食料援助の後ろに独占的・支配的な動きを感じた発展途上国や、WTOが設立され食料貿易
の自由化に伴って安全性の疑わしい食料輸入に制限をかけたい欧州各国とアメリカの対立が
密かに進んでいる。
そんな世界の事象と、では日本がどうなっているんだ?と問いかけているのが本書である。
紹介される事象は、
・GMOを取り巻く国際企業
・突然訴えられたカナダの農夫の話
・日本で行われているGMOの取り組み
・欧州とアメリカの食料戦争
・グローバル化の中での食の安全性
・GMO表記をめぐる各国の違い
著者は、茨城で行われた遺伝子組み換え大豆の実験農場に反対した地域の農民が、反対
行動として大豆を刈り取った事件の主団体の代表である。
この事件は珍しく新聞にも載ったGMOに関するものだが、その顛末が本書に書かれている。
この事件はその後大々的に取り上げられる事なく、またその処罰も議論もない奇妙な事件で
ある。こういう話ってミステリーでしょう?
こういう本を学校で教科書の副読本として採用して、議論する場を設ける中学校って無いの
かね。
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