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NO,014 |
■ 客家の鉄則
4月
著者:高木 桂蔵
出版:ゴマブックス 株式会社
客家(ハッカと読みます)を最初に知ったのは、一枚の写真からである。
草原に大きな円筒形のお城とも見えるし、寺院とも見える6階建ての建物の写真である。
円筒形の側面には集合住宅、中にはパティオのような中庭、こんな極めて合理的な建物が、
数百年前から建てられていたのに驚きを感じたものである。
で、その客家、中国ではマイナーな民族ながら、世界中にあるチャイナタウンを始めとした
中国人コミュニティーを形成している華僑の中心となっている。
また、中国や東南アジアで政治経済の主役となっている人々の多くも客家出身の人が多い。
なぜ、客家がこうなったか?
また、そんな客家の生き方を客家に伝わる格言を基に著しているのが本書である。
ここのところ、「無量庵」サイト「心に沁みるお言葉」もネタ切れで更新進んでいないが、
そんな事を時々考えていると、「鉄則」とか「格言」とかタイトルに書いている本を見ると
ついつい手が出てしまうんですね。
こんな思いをそうそうしている人は極めて少ないと思われるが、話の題材や前フリのネタを
考えている人にとって、本書のタイトルと表紙のデザインは、大変心くすぐるものがある。
各言うUKIもそんな理由で、思わず手に取ってしまいました。
さあ、ここで客家に残る鉄則のうち、UKIの「心に沁みたお言葉」いくつかご紹介します。
■ 「狼多くして人を食い、人多くして狼を食う」
互いの協力と団結を謳ったお言葉、日本にも同様の有名な格言があります。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
■ 「人を助くるは人を生かすほどに」
なかなか奥の深いお言葉である。人を助けるには、ほどほどにしないと助けられた人は、
逆に恩着せがましく思うものである。また、助けた事で信頼関係が揺ぎ無いと考える人は
圧倒的に助けた側であって、助けられた人は、助けた人ほど思っていない。
人を助ける時は全て面倒を見るのではなくそのきっかけを与えるだけで良い。という意味
■ 「太太死すれば街は白に満ち、大官死すれば棺をかつぐ人なし」
太太は奥さんの事。奥さんが先に亡くなったら人は沢山集まるが、当の本人が死んだ時は
それ程では無いというお言葉。
現実的なお話ではあるが、実力者は生きていてその関係が成り立っているから人は集まる
のであって、その人柄でお付き合いしていると勘違いするなというお話。
■ 「一人で廟にはいるべからず、二人で井戸を見るべからず」
廟とは、広いがらんとしたお寺のようなもの。人が隠れるほどの柱が立ち、襲われるかも
しれない。井戸はわかるよね。
■ 「話は広げるなかれ、傘はすべて開くなかれ」
余計な事をべらべら喋るとボロが出るし、失言も誤解も生まれる。的確で必要な事のみを
喋れという「お言葉」とても心に沁みます。反省。
■ 「どの家にも曲がりたる樹あり」
どんなに裕福そうでも、どんなに成功している家でもそれなりの問題は抱えているという
「お言葉」。お互い色々事情があるのがわかっていても、互いに触れない大人の付き合い
が肝要という意味。
■ 「官大なれば険多く、樹大なれば風強し」
成功したら責任も重くなるし、余計な妬みも買う事となる。という「お言葉」
若い頃は、突っ張って妬みも買おうじゃないかと思うが、段々と年を取ると気力も体力も
落ち、億劫になる。風当たりも程ほどにして欲しいと思うようになる。
そんな気持ちになるのはそこそこ成功しているのかもしれないが、人生ままならないね。
■ 「兎は巣穴のまわりの草を食べず」
身の周りに気配りをせよという「お言葉」。
巣穴の周りの草を食べてしまったら、隠れ家が隠れ家にならない。
■ 「百聞は一見にしかず、されど百見は一行にしかず」
この格言、続きがあったんですね。
英語でも同様の「お言葉」がありますね。「視る前に跳べ」
■ 「夫婦は元は同じ林の鳥なれど、死ぬときは各自飛ぶなり」
夫婦は来世まで一緒ではないから、生きている時はせいぜい互いに協力しましょうという
「お言葉」。この考えは一般的ではないと思われるが、UKIはそう考えている。
■ 「人から金のかんざしを借りても、人から刺繍の靴を借りるな」
金のかんざしは結婚式の時くらいしか使用しないが、刺繍の靴は毎日使う物である。
毎日使うものを人から借りたら、結局高いものに付くという「お言葉」。
■ 「富は足るを知るにあり、貴は退くを求めるにあり」
これも奥深い「お言葉」。
お金はどんなに多くとも邪魔になる事はないし、さらに増えないかと心を悩ます。
貴とは、名誉の事。それなりの地位になるとさらに上を目指したいと欲が出る。引き際を
間違えると惨めである。なかなか出来ない事だねぇ。
■ 「今日酒あれば、今日酔うべし」
これは、UKIが最も好きな「お言葉」。
なお念の為に記すが、客家はいつも迫害されていた民族であり、明日はどうなるか分から
ない現実があった。その日その日を悔いなくやり残す事なく過ごしていく事が肝要である
という「お言葉」である。
その意味を分かりやすく伝える為に酒を題材にしたと思われる。
良い事も仕事も嫌な事も明日にまわすな!という意味である。
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