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NO,018 |
■ うつくしく、やさしく、おろかなり
7月
著者:杉浦 日向子
出版:株式会社 筑摩書房
昔から江戸に関する本をよく読んでいる。
円熟した循環型社会として成熟した江戸時代は、これからの環境と地域を考える意味で、
全てが良いとはいえないが、多くの部分見習う必要のある時代である。
そんな江戸に関しての当代の専門家の一人が著者である。
そんな著者のエッセイや講演など、様々な対象に向け、その対象の方々の望むテーマに
沿って、江戸との係わり合いや繋がりをまとめたのがこの本である。
前半、岡本綺堂の小説や劇本に触れている。
江戸っ子への思いとして本の表題である「うつくしく、やさしく、おろかなり」という
言葉を送っている。
今の時代では、その価値を見出せないし、そうあれば損をする事は多くありそうである。
が、そうありたいと日常とは裏腹に誰でも思っているのではないだろうか?
江戸に戻りたいとは思わないが、その時代の良いエッセンスを何とか吸収したいと思う
人達が多くいるのが、江戸学の人気のひとつかもしれない。
ちなみに、著者とUKIは同じ歳である。
惜しい事に著者は、ガンを患い、2005年に急逝された。
同じ歳だけに、著者の刻跡とその若い旅立ちに思う事は多い。
合掌。
この本の最後のページに、著者の描いたイラストが載っている。
なかなかかわゆい町娘のイラストである。このイラストを見るだけでも、この本を開く
価値はある。
著者は元々は漫画家でした。それも我らやその上の団塊の世代の人々が良く見たガロで
デビューしたそうらしい。
何だか切なくなってくるね。
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