失敗しない田舎暮らし入門

NO,026

■ 失敗しない田舎暮らし入門 第三版

11月

著者:山本 一典
出版:株式会社 洋泉社

団塊の世代がリタイアして、次の人生のステップとして田舎暮らしを考える。
日本の過疎化を防ぐにはとても良い事なのだが、安易な田舎暮らしの計画は大きな失敗を
伴う事が多い。では、どうしたら失敗をしなくて済むか?
本書は、そんな事をまとめた本である。

この手の本は、巷によくある。
曰く「楽しいカントリーライフ」だとか「私はこうして田舎暮らしを楽しんでいます」と
か明るい成功した話しか本になっていない。誰も、失敗した話が載った本をお金を出して
買おうとはしないから、そんな本は見当たらないし、別荘地の案内や地方自治体の住民税
目当てのPRが、この手の本やパンフレットの制作の母体となっている事も多い。
そんな中で本書は、かなり現実的に田舎暮らしの方法を語っている。

具体的には、
・田舎暮らしを目指す際の注意点や、ものの本には書かれていない課題やデメリット
・農業をしたいなら坪10万円以下の土地を探す事
・農村とリゾートの違い
・気候について
・地域での正しいお付き合いの仕方
・目的に応じたライフスタイル
・田舎での現金収入の道とは
・実際の生活費
・田舎での関わり合いの多い法律の話
・実際の不動産物件の流通
・物件の入手ルート
・物件の種類と購入方法
・水の利用方法 沢水・井戸・水道
・下水処理の方法
・新築費用と寒冷対策
・農業の方法

TVや雑誌で紹介されている「田舎暮らしは月10万円で」という事は、まったくの
嘘らしい。著者は「田舎暮らし」の紹介をする本のライターであり、実際の生活する
人を多く取材している。また、自身も田舎暮らしをする中で、最低でも月20万円は
必要であると説いている。これは、任意も含めた保険費を費用に加算するかしないか
の差である。実際には都会に住む費用とあまり変わらないもしくは交通の便を考える
と自動車に関わる費用の分、負担が大きいかもしれない。

本書を読んで感心するのは、田舎での不動産の取得についてである。
大変詳しく書かれている。特に誰も話さない流通ルートや都会では適応しないような
複雑な法律の話など大変参考になる。
出来れば都会とは違うであろう、病院等の施設や行政サービスの利用法などに触れて
くれれば言う事なしである。
著者は、まだ若いのでそこまでの経験はないからと思える。
が、これから団塊の世代が田舎に移り住み事になるとこれは大変重要な問題となると
思うのだが・・・

最後に、この本がなぜ第三版となっているのかの理由。
時代によって、傾向やニーズや情報は変化している。
2004年時点での最新情報を載せているという意味で第三版としているらしい。









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面白かった本などを紹介します。
2007年に読んだ本の中からの紹介です。