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NO,027 |
■ 食から立て直す旅
12月
著者:金子 勝
出版:岩波書店
著者は経済学者である。
その経済学者が、経済からの観点で食の重要性を説いたのが本書である。
当たり前の事だが、食の問題は生命を維持する為には欠かせない重要な事である。
自給率の低い先進国は日本以外に見当たらない。いざ有事となった場合に食料の供給が
ストップしたらどうするのか?
さらに、この問題を他人事のように「誰かがどうにかしてくれる」といった戦後日本人
の「思考停止」状態を打破するには、地域での共同作業を行い互いが責任をどう果たし
ていくのか自覚する必要があると本書は説いている。
バブル後の経済の低迷とその影響は、都会よりも地方がより深刻である。
では、その地方でどのような現状打破を行ってきたか?
著者は経済学者として、これからの日本がさらに地域間格差に見舞われる中、今の地方
をとりあえず見て記録に留めようと思い立ったらしい。
さて、具体的な事例。
・宮崎のワイン
・徳島の妻物栽培
・山形の無農薬米
・長野の相互農地賃貸制度
・秋田の森林経営
・大分の山での茸栽培
・新潟の地震後の通い農業
・北海道の輸出と加工品による付加価値農業
ううんこの中のいくつか、TVで見た事あるぞ〜。
徳島の妻物栽培は、懐石料理で使う季節の花木の小枝栽培である。
おばあちゃんの片手間仕事で始まったこの栽培、懐石料理の人気とその需要の高まりの
中、独自の競争受注制度により年寄りの負けじ魂に火を付け、中には年収1000万円
を越えるおばあちゃんまで出現するという話である。これは凄い!と強く印象に残った
内容であった。
過疎と格差で地方は大変な時代だが、その中でも新しい方法で活路を見出している地方
は、これからの日本のあるべき道を先取りしてのかも知れない。
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