朝めしの品格

NO,009

■ 朝めしの品格

11月

著者:麻生 タオ
出版:株式会社 アスキー

いやいや、また本のタイトルにピンときて読んでしまいました。
でもこのピンとくる感覚、あまり外れた事が無い。

本書は、大変わかりやすいタイトルどおり朝食を構成する品々について触れている。
まずは梅干、味噌汁の具としての豆腐とワカメ、オカズとしての漬物、納豆、玉子、海苔、
朝食の主役であるコメ、忘れてはならない茶、

無量庵の料理サイトの一部は他の料理専門サイトでも公開しているが、ここで掲載している
朝食ネタは、ダントツでヒット数が高いアイテムである。みんな朝食ネタは好きなのかも?

ところで本書は、なかなか良い事を書いている。
例えば梅干、これは朝食アイテムとしては必須である。何は無くともまずは梅干である。
ところがこの梅干、最近は梅干とは呼べないまがい物が多く巷に溢れている。
UKIは、まがい物では無い本当の梅干を小田原まで買いに行くが、これはこれでわざわざ
梅干の為だけに小田原まで行くのはなかなか大変である。
が、この梅干割合簡単に作る事が出来るらしい。で、毎年著者が作っているその本物の梅干
のその作り方が載っている。これは、誰でも時間さえあれば簡単に作れそうである。

次に、こんなものがあったのか!と初めて知った茶節、即席味噌汁である。
鍋で煮る事なく簡単に美味しい味噌汁が出来てしまう優れもの。一度作ってみよう!!

また、これこそ朝食に欠かせないアイテム、漬物。
その漬物の中でも、嵌るとこれが無いと我慢なら無い漬物、ぬか漬けが実は、日本でしか作ら
れていない漬物なんだって!? 知ってたぁ〜!!

コメのコーナーはなかなか薀蓄が凄い。
江戸初期キリスト教の改宗がなかなか進まない中、一番改宗に効果があった拷問の方法が、
一日2合半しかおコメを食べさせない事だったんだったそうである。
その後太平洋戦争の最中、食べる事が困難だった時代、一日2合のコメでも弱音を上げずに
頑張った国民は、宗教よりも戦争により信心?が深かったのかと作家の坂口安吾は当時嘆い
ていたとか・・・
ちなみに現代では、一日コメを食べなくとも別段平気でいられる若者が多いのは、何を拠り
所としているんでしょう?(今は、コメ食べなくとも他に食べるものは沢山あるからネ)

既にこれだけ多く語られている「朝食」だが、その中にあって著者の視点は、まさに朝食の
基本であり、それをシンプルにかつ斬新に語った本書は、有りそうでなかった本である。

ちなみに蛇足だが、本書で語られているような朝食をじっくりと味わえる日常というのは、
普段の平日の朝ではなかなか実現出来ない。あえて実現出来るのは、時間にゆとりのある
休日となってしまうんでしょうねぇ〜。

簡単梅干の作り方:
・青梅を一晩水に漬ける
・梅の水気を切り少量の焼酎で梅を洗う
・梅に塩を振り錆びない容器に入れる 梅と塩の比率は5:1
 一粒一粒塩をまぶして容器に入れて最後に残りの塩を上からまぶす
・ラップをし落とし蓋をする 蓋の重さは総量の1.5倍
・梅酢が上がってきたら赤紫蘇を塩もみしてアク抜きしたうえで入れる
・7月の土用が過ぎ晴天が連続して続く頃 ざるに梅を出して三日三晩陽にさらす
 夜は露をしのぐためにラップを上からかける
・これが終わったらまた容器に入れてできあがり

茶節:
・椀に梅干大の味噌と鰹節を1/3ほどいれる
・お好みで紫蘇や葱、生姜、わかめ、なども入れてお茶をかけて出来上がり






前のお話へ
次のお話へ


空の写真 今月の本(2008)
面白かった本などを紹介します。
2008年に読んだ本の中からの紹介です。