本 旅の民俗学

NO,011

■ 旅の民俗学

11月

著者:宮本 常一
出版:株式会社河出書房新社

地域の民俗のあり方を旅する事で探っていくフィールドワークの大家である著者が、対談の
形で地域の交流、無常感、日本人のルーツ、伝説、平家落人ブランドなど著者とは違う分野
で活躍されている方々と対談形式にテーマに語り合っている本である。

戦前から「旅する民俗学」という取材を中心に伝承を発掘採種していく手法を、当時、まだ
学問と捕らえられなかった時代から現代まで、長い間に渡って実践してしてきたのが著者で
ある。多分著者は、民俗学におけるフィールド活動の第一人者であろう。
その著者がホストとなり、民俗学とは異なるが、各分野で活躍されている方々とその分野と
民俗学のフィールドワークの関連性から共通の話題「日本」を語っている。

著者の言葉の中で父からの教えで初めての地に立ったら、まず高いところから見下ろして、
ランドマークになるような建物の位置関係を頭に刻む事から始まり、畑の土の色を見て肥
えているかいないか?大きな家はあるか?あったら一軒かまとまってあるか?大きな家の
まわりは、同じような大きな家か?小さな家か?人々の服装は和服か洋服か?清潔か?靴
は?など地域の経済の具合を探る技が載っている。
これはなかなか奥が深い。





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2008年に読んだ本の中からの紹介です。