NO,002

■ 八百八町に骨が舞う 

1月

著者:谷畑 美帆
出版:株式会社 吉川弘文館

いやいや、また本のタイトルにやられてしまった。
痛快時代劇みたいな本のタイトルである。が、本書は真面目な考古学の本である。
人骨を調べる事で過去の人々の営みや病歴などを探る事が出来る。そんな考古学の中でも、
極めて専門的な分野の仕事を受け持っている著者の主に、江戸時代の日本やイギリスなどの
人骨を調べた仕事の成果である。

江戸時代の人骨の中で、骨まで影響を与えるような目立つ病歴にくる病と梅毒がある。
また、ロンドンでも比較的豊かな暮らしをしている人の人骨でもくる病を患っている人が、
多い。こちらの原因は食生活の偏りではなく、当時急速に進んだ産業革命の影響でスモッグ
がロンドンの街に拡がり、日の光が差さなくなった事でビタミンDが不足した事による。

現代の日本は、火葬が主流である。
したがって、将来考古学的見地から人骨を調べる事が出来なくなる。考古学で古文書を調べ
る手法があるが、将来は膨大なカルテを読み込む事で過去の人の営みや病歴を調べる事と、
なるんだろうか?






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