NO,003

■ 転生

2月

著者:ジョナサン コット
訳者:田中 真知
出版:株式会社 新潮社

輪廻転生のお話である。
UKIは輪廻転生は信じていない。また幽霊というものも信じていない。
人は死んだらその人格と意識は消え去り、無になるものだと思っている。死んだら無になる
とは、イコール幽霊の存在も有り得ない事に繋がる。
しかし、かつて生きていた人の存在やその気といったものは、残香のごとく残っているもの
だとは思う。その存在は信じてはいる。なぜなら、身近な知り合いにすでに亡くなった方の
姿と声を聞ける人がいるからである。長い付き合いから作り話をしているとは思えない。
私には見えなく聞こえないものだが、その人には明らかに見えて聞こえるらしい。

で、UKIは先ほどの幽霊は信じてはいないが、その存在(?)のようなものはあるものと
信じてはいる。それはいわゆる人格を伴った幽霊とは違うものではないかと思っている。
何故ならその存在は、テレビのように一方的に喋り、行動しているらしい。つまりその姿が
見える人でも会話などのコミュニケーションは出来ないらしい。いわば残像、または残香の
ように、そのもの自体ではない「なごり」のようなものを感じ取るアンテナが普通の人より
発達しているから見て聞く事が出来るからなんだろうと考える。

ちなみに、いわゆる霊能力者という方は会話が出来るそうだが、信頼できる知り合いに霊能
力者はいないからよく分からない。
が、そんな輪廻転生や幽霊を信じないUKIが何故この本を読もうと思ったか?
それは、あまり輪廻という観念のないイギリスの女性の自分はかつての古代エジプトの神殿
に仕える巫女の生まれ変わりだという話である事、また、その過去の記憶に基づいた助言に
よる発掘作業で多くの発見と成果をエジプト考古学にもたらした事、今のエジプト考古学に
大変な貢献をされ数奇の運命を辿った事に、何だが不思議な力を感じ思わず本を手に取って
しまったからである。

主人公ドロシー イーディーはロンドンに生まれる。3歳の頃、自宅の階段から転倒し意識
を失う。この時から普通の人には感じない何かを感じる事となる。
そのうち、自分の前世を感じる事となりこれも何かの縁で前世の故郷エジプトに向かう。
独立前のエジプトを舞台に青い目のブロンドのイギリス女性が、エジプト人よりもよりエジ
プト人らしく強い自我と独立心を持って生活をしていく。
ここには、輪廻転生についての嘘や疑いは無い。

ところで、この本を読んで輪廻転生を信じるようになったか?
答えは、「そのような体験がないかぎり私は信じない」である。
多分同じ体験をしなければあると思うか無いと思うかはわからない。ただ言えるのは、夢で
は会話が出来るが起きている時は姿と声は存在するがコミュニケーションは取れないという
事は、夢では自分自身の記憶や何かに触発された智識を元に、その記憶と会話をしているの
でないかと思われる事である。また起きている時の様子は、前述した幽霊の見れる方の体験
と同じである。何か残香のような消えない電波のようなものが存在するではないかとは思う
が、それが人個人個人の輪廻や固有の人格を持った幽霊では無いと思う。
ちなみに何かに触発された智識というのは、別の表現では集合的無意識またはアカシック・
レコードというそうです。






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空の写真 今月の本(2008)
面白かった本などを紹介します。
2008年に読んだ本の中からの紹介です。