NO,004

■ ぶどう畑で長靴をはいて

2月

著者:新井 順子
出版:株式会社 集英社

自分でお酒を造るとは楽しい事のようである。
ましてや、それが評判となって名前が売れ出したらどのくらい楽しい事だろう。
そんなお酒の楽しみの極みとしてワイン造りがあると思う。国内でも有数のぶどう畑と醸造
所はあるが、なんといってもワインの本場はフランスである。
ここでぶどうを育てワインを造り、そのワインが話題を呼んだらどんなに楽しい事だろう。

欧米では、人生に成功して生活に困らないくらいの余分なお金が溜まり、さらに余分なお金
を手にした人が贅沢のひとつとして行うのがぶどう畑を買って、自分の納得いくワイン造り
をするらしい。

本書は、そんな動機とは違う日本の女性が、あまり前後の事を考えずにワイン畑を持ちたい
という欲望に駆られ、ワイン畑を持ってワイン造りをするまでの過程を記した本である。
とはいっても、何も知識の無い人がいきなりワイン畑をフランスに持ったのではない。
ワインテイスターとしての評価を得て、フランスで醸造学を学び、ワイン輸入業を、軌道に
乗せてレストランも開いてとその道では、知名度も高い女性である。

が、それでもぶどう畑を持つという事は、かなり大変な事であるらしい。
どのくらい大変か?それを本書を読めばわかるが、なるほど人生に成功して生活に困らない
くらいの余分なお金が溜まり、さらに余分なお金を手にした人でないと、なかなか大変だと
いうのは本書を読むと良く分かる。
でも、それなりのぶどう畑が8ヘクタールで1600万円とは日本とは比べもののならない
くらい物の値段が安いなぁと感じる。中国産の質の良いワインが低い人件費のおかげで安い
値段で輸入が始まっている。これを見ると、日本で造るワインはどんどん難しい事だと今更
ながらに感じる。






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