NO,009

■ 餓死迫る日本

12月

著者:小池 松次
出版:株式会社 学習研究社

日本の食料自給率39%(当時)は、多くの輸入されている飼料や肥料や農薬や石油など
のエネルギー源があって、始めて成り立つ数字であると冒頭、著者は訴えている。
もし、日本以外で発生した何かの事情でこれらの輸入資材が日本に入ってこなかった場合
さらに食料自給率は下がるというのである。
飼料が無ければ家畜は育たず、肥料や農薬が無ければ作物は育たない。また、石油などの
エネルギー源と自給率がどう関係するかというと、農作業に使用する機械や自動車、物流
で使用するガソリンや電力の源は輸入エネルギーだからである。
確かにその通りであるが、この論調で日本の資源危機を訴えている他の論文著書は、見当
たらない。著者は、なぜこの本を上梓しようと思ったかはここにあるらしい。

では、その危機から逃れるためにはどうしたら良いのか?
まずは、主食となる米、これはアイガモ農法により省力化での米作りが可能となる。
雑草駆除の為の農薬の使用や追肥をしなくとも、アイガモがその役目を果たしてくれる。
また、エネルギー源を輸入に頼らないですむ方法として、間伐材を主とした循環型資源に
よるエタノール燃料の生産体制であると著者は提言している。

そして、もし経済的に自給せざるを得ない鎖国状態となった時、どうすれば生き延びられ
るのか?その答えとして、家族4人が生きる方法として一反の農地の1/2にさつま芋を
植えて主食とし、1/3に様々な季節の野菜を植え、1/6にケールを植えてビタミン不足
を補うのが最良だと説いている。
これは、極めて合理的な方法かもしれない。

さて、この本で面白いのは以下の2点である。
ひとつめは、これからの日本の在り方として少子化のどこが悪いのか?という点である。
このような論調に出会った事は無いが、UKIは大賛成である。
その理由として、日本の国土面積と自給食料に対する人口が他の国と比べ、異常に多い点
と今の日本の少子化対策の目的が、年金資源供給者の確保にある点であるという事である。
ふたつめは、いかに今の日本の農業が機械に異存しているかを、昔と今の農作業の様子を
写真で対比させている点である。
具体的には、耕運、堆肥撒布、運搬手段、代掻き、苗作り、田植え、除草、稲刈り、脱穀、
モミ摺り、である。
UKIは、畑作業や米作りの体験から上記の作業の殆んどを昔風のやり方で体験した事が
あるが、驚くのは最近の農家の方の殆んどがそのような昔風の作業の体験が無い事である。
流石にUKIも馬を使っての代掻きの経験は無いが、稲刈りなんてプロの農家の方から、
「俺よりも上手いね」と驚かれもする。
ここに載っている昔の農作業の様子は、これからますます貴重な資料となると思われる。




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空の写真 今月の本(2009)
面白かった本などを紹介します。
2009年に読んだ本の中からの紹介です。