NO,006

■ イタリアの魔力

 8月

著者:島村 菜津
出版:株式会社 同朋舎

ご存知「スローフード」の紹介者として有名な島村センセイ、どうやら本業は本書の
ようなミステリアスの世界のようです。
そんな、島村 菜津さんの世界を知りたいと思う方には絶好の本である。

あまり知られていないイタリアのミステリアスでちょっとエロチックでグロテスクな
世界が拡がっている。ローマ時代から続く歴史あるイタリア、多くの屍が眠る上に、
都市が成り立ち、伝承や歴史に満ち溢れている濃厚な街や村は多くの観光客が訪れる。
そんなミステリアスツアーを著者は廻っていく。

本書で紹介されている内容は、
■ 少女の霊が現れるというフォスディノーヴォ城
■ 古代遺跡が眠るローマの地下
■ 幽霊の出るローマの天使城
■ ローマの骸骨寺とシシリアのミイラ寺
■ 幽霊が出るフィレンツェのソルチ城
■ 美少女の解剖模型があるメディテ家のコレクション

イタリアのイメージは、明るく陽気な国のイメージが強いが、本書はイタリアの深く
暗い部分に踏み入っていく。時としてドロドロした世界が拡がっていく。
そんな世界を著者は、これでもかと書いていく。その筆のテンポとリズムが「スロー
フード・・・」の時よりさらに輝いている。この世界が実は、著者の本当の世界かも
しれない。あまり知らなかったイタリアのもうひとつの世界を「ほら、こんなのも、
有るのよ!」という感じで紹介している著者は、ホントにイタリアが好きなんだろう
と思ってしまう。

ところで余談だが、イタリアに負けじと多くの屍が眠る上に、都市が成り立ち、伝承
や歴史に満ち溢れている我が日本でもこんな濃厚なミステリーツアーを行ったら外国
人の観光ツアーには、もって来いではと思ってしまう。
日本人には、濃厚過ぎて好き嫌いがあるかもしれないが、こんなのがあってもいいん
ではと思う。例えば「深夜の東京 将門伝承の地を行く」とか・・・
ダメかしら? もうすでに外国人専用英語のみのガイドで有ったりして・・・




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2010年に読んだ本の中からの紹介です。