|
NO,010 |
■ 食の街道を行く
11月
著者:向笠 千恵子
出版:株式会社 平凡社
日本の代表的なフードライターの著者が、昔からの地域の特産物がどのようにして生産地
から消費地まで運ばれていったか?その道を辿り、現代の特産物に関りのある方を訪ねて
話を聞く、ルポルタージュの旅である。
題材となるのは、以下の食材。
鯖・鰤・塩・鮑・昆布・醤油・鮎鮨・お茶壷・砂糖・豆腐・唐辛子・さつま芋
鯖は、ご存知小浜から京都に至る道。
鰤は、氷見から高山。
塩は、糸魚川から下諏訪。
鮑は、沼津から甲府。
昆布は、敦賀から京都。
醤油は、湯浅から名古屋と、野田・佐原から銚子。
鮎鮨は、岐阜から東京。
お茶壷は、宇治から東京。
砂糖は、長崎から博多。
豆腐は、京都から東京。
唐辛子は、高田から長野。
さつま芋は、川越から東京。
本書には、長年のフードライターとしての経験から、多くの人の繋がりやネットワークを
持つ著者ならではのルポルタージュの奥深さがある。その地に根付く特産物、いわば本当
の意味での日本のスローフードに関っている人々が、著者の旅には登場する。その方々の
言葉ひとつひとつが食の歴史となり、食の財産となっていく、こんな時代の採取は著者で
しか出来ないと思ってしまう。
余談だが、本書を読んで初めて判った事がある。
お茶壷道中は、将軍がお茶会始めに使うその年の新茶を運ぶ道中で、その中身から道中で
の運搬人の横暴がとんでもなかったらしいのだが、実際のお茶は、このお茶壷に入っては
おらずに大阪から檜垣廻船(弁財船)で運ばれていてお茶壷は単なる飾りだったとの事。
へぇ〜である。
|
|