日記が語る日本の農業

NO,012

■ 日記が語る日本の農業

11月

著者:中村 靖彦
出版:中央公論社

この本はいいね〜。

その地に根付いた人の伝承や書を発掘していく事は、単なる民俗学だけでは無く、人文学
や史学の領域にも拡がっていく作業だと思う。その作業を丹念に行ったかつての偉人に、
宮本常一と松谷みや子がいる。著者もその後継者となっていく事に大いに期待したい。

本書は、長野県山形村の農家、唐沢正三氏が1930年から1996年まで綴った日記を
ひも解き、当時何が家族にあったのか?世の中の動きがこの村にどう影響したのかを研究
している。

個人のプライバシーに触れる部分は慎重に丹念に問題が無いように扱ってはいるが、その
内容は、まるでドラマのように、またはそれ以上にリアル感を持って伝わってくる。
実際に起こった事実だから、当たり前といえば当たり前ではあるが、その場に居合わせて
いるかのような、または、まるで自分の身近の親戚の事のように伝わってくる。

この手の日記による伝承記録の解明は、もっと研究されるべきでもあり、そこから違った
角度で観えてくる歴史というものもあるのではないかと思う。

この取組みは、「拍手!!」である。



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2011年に読んだ本の中からの紹介です。