ハンバーガーの世紀

NO,015

■ ハンバーガーの世紀

12月

著者:ジョシュ・オーザースキー
訳者:市川 恵里
出版:株式会社 河出書房新社

この間、アメリカに出張に行ってハンバーガーばかり食べていたので、つい手に取って読んで
みたのがこの本。
ちなみに、メインランドの人口10万人程度の歴史ある街に数日滞在したのだが、朝食を食べ
ようとお店を探したら、開いていたのは「デニーズ」と「ステークNシェーク」というハンバーガー屋、
「デニーズ」は日本では食べなれていたので「ステークNシェーク」というハンバーガー屋へ。
で、結局、
毎日ハンバーグを食べる事となった。
街の中央部には「マクドナルド」も「バーガーキング」の店は、ありませんでした。

で、アメリカに於けるハンバーガーの起源から、フランチャイズ化の最初の成功例、
「ホワイトキャッスル」.。
若者がたむろするようになり、下火になったドライブスルーを復活させて成功した初期の
「マクドナルド」。
さらにいかに時間を掛けないか?いかに、コストを軽減するかを基に人の作業の標準化
とオートメーション化を推し進めて躍進をしたその後の「マクドナルド」。
その方法を踏襲した「バーガーキング」、近代化しつつある中を少し捻った「ウエンディーズ」
など、今のアメリカのハンバーガービジネスを著わしている。

本文を読んでいて、おもわず笑ってしまう表現が結構ある。
「中国からペルーに至るあらゆる国の移民が住みつき、無からでっちあげた国には、
連邦政府の官僚制度と未完成で賛否両論あるイデオロギー、共通言語くらいしか人々を
結びつけるものがない」
「ウェンディーズのハンバーガーは肉の角がはみ出していた。大きさ(通常のハンバー
ガーでもワッパーほどの大きさがあった)、手づくり感(バンズがあっていない)たっぷり感
(文字どおりバンズがおさまらないほどある)。」
「4分の1ポンドの肉を使ったハンバーガーがワッパー、すなわち大きすぎて巨人の
ような食欲がなければ食べきれないものとして誇大広告されていたときに、ウエンディーズは、
同じ一枚のスライスチーズを使ったものとはいえ、2分の1ポンド、4分の3ポンドのハンバー
ガーをひっそりと出していたのである。」
洒落が効いた皮肉が、ともすると硬くなるフード業界のビジネス書的な本書を柔らかくして
くれる。これも、アメリカの書によくあるお約束のようである。

ところで、著者はフードライターとの事だが、味についてあまり触れていない。
日本のフードライターって味が美味いから入って、どこでどう取れたかどう料理したかという点で
読者をそそるが、アメリカのフードライターはどちらかというとインタビューと文献を基に客観的に
まとめたルポライターに近い。
さらにジャーナリストとしての立場から時には、批判や企業を告発するような場合も多い。
日本のフードライターって批判や告発する事ってないよね。




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2011年に読んだ本の中からの紹介です。