幕末百話

NO,003

■ 幕末百話

   2月

著者:篠田 鉱造
出版:岩波文庫

明治半ば、報知新聞の記者だった著者が、江戸時代の伝承の記録を残そうと、当時まだ存命
だった江戸を知る人々に取材して記録したのが、この本である。

その内容は、市井の生活の様子や大名の暮らしや、辻切りや戊辰戦争など広い分野に渡って
いる。その数百と三十八、数の多さもさることながら、その丹念な聞き取りもたいしたもの
である。

本書で、面白いのが、取材した本人の言葉を忠実に本にしている事である。
体験した本人だからこそわかる緊張感や、その話口からの臨場感がひしひしと伝わってくる。
また、当時の江戸言葉や掛け言葉など今は使われなくなってしまった言回しが随所に残って
いて、楽しい。



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