古道

NO,006

■ 古道

   4月

著者 藤森 栄一
出版 株式会社 講談社

市井の歴史家の本である。

縄文時代以前の山裾を縫う鹿などを追いかけた鹿道、黒曜石を運んだ稜線越えの道
稲作が広まった道、武器を運んだ道、などの古代からの様々な道を、発掘考古学の
見地からライフワークとして行ってきた著書の独自の視点から語られている。

ところで、歴史学者では無い著書が、発掘やフィールドワークを行うには、組織や
仲間がそう沢山いる訳では無い。では、どうするのか?
著書が動員したのは自分の家族であった。

仕事帰りの夕刻や休日など、普通の家庭では家族団欒や遊園地に遊びに行く一時、
著書の家族は、一家総手勢で発掘作業を行うんである。
この風景は、なかなか見られない風景ある。

こんな市井の人達による研究や独自の観点による歴史探求が、時を経て見直され、
新たな発見に繋がる事もある。そういう意味で本書は、これからもっと大きな意味
を持つ重要な本になるかも知れない。



前のお話へ 次のお話へ


空の写真 今月の本(2013)
面白かった本などを紹介します。
2013年に読んだ本の中からの紹介です。