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NO,007 |
■ 野菜の時代
6月
著者 瀬戸山 玄
出版 日本放送出版協会
最近、最もプリミティブな農について考えている。
環境に対してインパクトのより少ない農業、化石エネルギーをいかに使わなくて
済ませる農業、いわゆる不耕起自然農法である。
今まで、捨てるしかなかった廃棄物をいかに安全に有効活用し、循環させる事が
できるか?また、化石エネルギーを使う機器を使用せずに人の力で、行える農業
を実践してみたいと思っている。
そんな事を考えている時に出会ったのが、この本である。
プリミティブな農、その先駆者たる人達のようすをレポートしたのが本書である。
東京等々力で無農薬栽培を行う大平さん、千葉上総でキャベツなどの有機野菜を
育てる山倉さん、東京羽村でトマトなどの有機野菜を育てる井上さん、静岡の地
でお茶を有機栽培する塚本さん・・・
みな、大平さんの農園の作物を共同購入する消費者の仲間から同じような育て方
をしている大平農園にはない、作物を育てている農家からの野菜が欲しいとの声
を受けて集まった農家の方々である。
また、そんな消費者も今までと違った農業や、その育て方を多くの人に伝えたい
と行動する姿を取材している。
そんな中興味を持ったのが、大平農園のドキュメンタリー映画を撮った菊池さん
が自ら伊豆に農場を構えて、ここで堆肥だけを使った農業を始めたくだりである。
菊池さんはガンに倒れ、道半ばでその農地は放置されてしまう。
そんな、様々な人達の有機農業にかける思いを、日本の有機農業が始まるかなり
初期の様子を伝えている。皆、有機農業を目指した理由は、農薬障害やアトピー
などと様々に異なるが、何か本来ある姿とは違うと感じた事は同じである。
ちなみに、ここに出てくる農法は、不耕起自然農法では無い。
が、飼料に含まれる抗生物質の摂取を防ぐため、家畜ふんを使用せず、間伐材の
端材を粉砕したおがくずと、落ち葉を主体とした半熟成の堆肥を、作物の株もとに
撒く手法を取っているのは、大変興味深い。
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