江戸の神々  

NO,005

■ 江戸の小さな神々

  7月

著者 宮田 登
出版 青土社

最近、自転車で神社仏閣巡りをしている。
江戸時代の昔、人々は暇さえあれば、近郊の神社仏閣を巡り緑に
触れ、行き交う人と交流し、上手いものを食べてと、楽しく時間
を過ごしてきた。それを見習ってエコで時間を掛けつつも、お金
はあまり使わない方法として自転車で巡っている。
そんな中、巡る神社仏閣の中で特に神社をより知りたいと思って
読んでみたのが、本書である。

本書は、江戸の神社仏閣を
・産土神を奉る神社
・稲作の神を奉る稲荷
・流行神
・富士講と御嶽講
・七福神信仰
に分けて語っている。

ところで本書、御嶽講のくだりで突然語り口が変わる。
著者が、この世界に深く係わる事となった大学の卒論テーマが、
民衆信仰であった。ある日、新宿駅で見た白装束の御嶽講の集団
に衝撃を受け、また、大学の先輩に、代々御嶽講の世話人をする
家の方がいて、ここに取材し、古文書を調べる事となる。
その御嶽講に嵌まっていく様子が、生き生きと書かれている。
御嶽講の成立ちを詳しく知りたい方には、格好のテキストである。

ところで、本書の中で大変興味深かったのが、「明治十三年東京
神仏独案内」という本の中から、稲荷神社を抜粋してを紹介した
もの。
その内容は、
・神田明神の内山稲荷と末広稲荷
・神田松宮町の三社稲荷
・神田佐久間町の草分稲荷と豊富稲荷
・神田岩本町の泉森稲荷
・神田松枝町の於玉稲荷
・柳原の柳森稲荷
・東紺屋町の正面稲荷
・連雀町の出世稲荷
・駿河台の太田姫稲荷
・三崎町の三崎稲荷
・神田神保町の栄寿稲荷
・福田町の山田稲荷
・鍛冶町の玉翁稲荷
・日本橋本銀一丁目の白韮稲荷
・亀井町の竹森稲荷
・伊勢町の福徳稲荷
・長浜町の常磐稲荷
・堀留三丁目の杉森稲荷
・通旅篭町の千代田稲荷
・通神町の朝日広田稲荷
・長谷川町の三光稲荷
・小網町の小網稲荷
・蛎殻町の松島稲荷
・兜町の兜稲荷
・茅場町の翁稲荷
・坂本町の三社稲荷
・松屋三丁目の稲稲荷
・八丁堀明特稲荷と緞子稲荷と松村稲荷と若宮稲荷と日比谷稲荷
・本湊町の鉄砲州稲荷
・築地の波除稲荷
・金六町の豊蔵稲荷
・中橋和泉町の稲荷
・本材木町の祐稲荷
・日本橋通一丁目の金蔓稲荷
・両国の川上稲荷
・亀島町の稲荷
・深川御舟蔵前の初音稲荷と巽稲荷
・深川安宅町の船引玉稲荷
・深川松井町の松井稲荷
・万年橋の万年稲荷
・深川清住町の榊稲荷
・深川西大工町の玉惣稲荷
・深川佐賀町の佐賀稲荷
・深川黒江町の出世稲荷
・深川一色町の吉成稲荷と大智稲荷
・浄心寺の和合稲荷
・西大工町の道分稲荷
・砂村の疝気稲荷と胡麻稲荷
・日本橋久松町の胡桃下稲荷
・猿江の鎮守稲荷
・向島の三囲稲荷
・浅草橋の真崎稲荷
・千住河原の稲荷
・千住四丁目の稲荷
・浅草山谷の一ツ家橋村山稲荷と宝樹稲荷と玉姫稲荷と口入稲荷
・浅草元吉町の豊川稲荷と車折稲荷と姥玉稲荷
・吉原五十軒町の正一位稲荷
・吉原京町の出世稲荷
・田町三丁目の袖擦稲荷
・上手下の合力稲荷
・馬道八丁目の子育稲荷
・浅草三社権現の被官稲荷
・新谷町の宝寿稲荷と太郎稲荷
・柴崎町の感応稲荷
・松葉町の霊先稲荷
・高原町の熊谷稲荷
・駒形町の宮戸森稲荷
・瓦町の西福天稲荷
・新右衛門町の稲荷社
・西福井町の稲荷
・下谷の下谷稲荷
・坂本村の日出稲荷
・元泉寺町の千束稲荷
・金杉村の石稲荷
・上野の穴稲荷
・谷中清水町の桜下稲荷
・谷中村の銭降稲荷
・谷中三崎町の瘡守稲荷
・黒船町の黒船稲荷
・御蔵前の稲荷社
・根津西須賀町の永久稲荷
・根津七軒町の七ツ蔵稲荷
・向忍岡の境稲荷
・妻恋坂の妻恋稲荷
・本郷大根畑の和合稲荷
・本郷本町の三河稲荷
・染井村の稲稲荷
・王子の王子稲荷
・小石川伝通院の沢蔵主稲荷
・小石川堤の長光寺稲荷
・飯田町の世継稲荷
・市ヶ谷の茶の木稲荷
・四谷坂町の桝箕稲荷
・戸塚村の水稲荷
・高田の藤の森稲荷
・西大久保の鬼王稲荷
・新宿の三光稲荷、
・四谷の御岩稲荷と須賀稲荷
・赤坂の玉川稲荷と豊川稲荷と鈴降稲荷、
・麻布日ケ窪の朝日稲荷、
・麻布桜田町の霞山稲荷
・麻布坂下町の末広稲荷
・麻布永坂町の竹長稲荷
・芝赤羽橋の正二位稲荷
・芝栄町の幸福稲荷
・高輪の高山稲荷
・芝増上寺の丸山稲荷
・芝烏森の烏森稲荷
・京橋の殻富稲荷
・日本橋元大工町の谷房稲荷
・芝口二丁目の日比谷稲荷
と、盛りだくさん。

これで当分、自転車で巡る場所に困らない。







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空の写真 今月の本(2016)
面白かった本などを紹介します。
2016年に読んだ本の中からの紹介です。