プロメテウスの罠 1   
プロメテウスの罠 2
プロメテウスの罠 3
プロメテウスの罠 4
プロメテウスの罠 5
プロメテウスの罠 6
プロメテウスの罠 7

NO,006

■ プロメテウスの罠 1〜7

  7月

著者 朝日新聞社 記者
出版 朝日新聞社

この国は、綻び始めているのかも知れない。
そんな思いを感じた本である。

東日本大震災が発生し、その時何があり、その後何が起こり、   
そして今、どうなったのか?
多くの記者が継続的に取材を重ねたノートがこの本である。館

なお現在、10巻まで発行されているらしい。

まず、大震災が発生した時、当時の政権を担当した民主党は、
どのような対応策を取ったのか、また、その後政権を担当した
自由民主党は、どのような事を行ったのか?を総括している。
当時報道された事、また報道されなかった事を、改めて丹念に
取材をやり直し、誤って報道された事や断片的な情報により、
誤解された事などを検証している。

また、大震災により発生した津波でも、安全だといわれていた
福島原子力発電所が、地震と津波により電力系統が壊れ、水素
爆発とメルトダウンを起こし、放射線を今も吐き出している中、
避難した人、避難出来なかった人のその後を追っている。

寝たきりの一人暮らしの老人が置き去りにされ、動けない中、
必死に食べ物と飲み物を探し、力尽き黒く餓死していた現状や、
搬送出来る状態に無い、重篤の入院患者がいる避難指定区域に
ある病院の脱出の様子、また、新たな受け入れ場所が無くて、
移転出来ないお年寄り、受け入れ先があったとしても、高齢や
体調から他に移れない老人ホームの問題など、余り語られる事
が無い弱者の様子などが綴られている。

避難出来ずに置き去りにされたペットや家畜、避難所で幼児の
夜泣きに苦労する母親や他人の避難者、原子力発電所の事故で
人生が狂った人、悲観して自殺する人など、今の時代にこんな
悲惨な事は有り得ないと思っていた私達の常識が、無残にも、
崩れていく現実がここにはある。

日本の国がどうなっているのか?
日本の歴史とは?

日本人一人一人が学ぶ歴史書として本書は、必読の書である。

なお、今も続くメルトダウンに対して遅々として進まない対策
や、このような大事故に対して、想定していなかったの一言で
済ましながらも、その一方で、日本中の原子力発電所を再稼働
させる国の姿勢、また、避難民を差別する受け入れ側の学校の
子供達。

この国は、何時からこんな国になってしまったのだろうか?










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