NO,001

■ 東京凸凹地形散歩

  1月

著者:今尾 恵介
出版:株式会社 平凡社

ここ数年、自転車で都内を走る事が多く、江戸風情が残る下町
の辺りや、緑の多い山の手辺りを走るのだが、その山の手辺り
の地形が、案外と坂道が多い事に気付かされる。元来、坂道は
嫌いなのだが、坂道といっても都内の坂道は、せいぜい30〜
40メートル位の標高差で上がる距離も短いので、それ程辛い
坂道では無い。
最近では、そんな坂道を上がって見える景色が面白く、今迄に
走った事が無い坂道を探して都内を自転車で走るのが、楽しみ
となりつつある。そんな時に読んだのがこの本である。

東京の地形を23の地域に分けて、各々の特徴ある地形を解説
されている。

読んでいて初めて知った事が、東京の台地を形成するふたつの
地勢のうちのひとつの名称が、我が家の近くの地名と同じだと
いう事である。その我が家の近くの地名がある場所が、台地の
特徴がよく現わしていて、その為にその台地の名称となったの
だそうである。
親近感が増すと共に、この歳になって初めて知る事があると、
嬉しいものである。

さて、著者のあとがきで、興味深い事が書いてあった。
最近、地形に興味を持つ人が増えたのだそうである。その理由
として、国土地理院のデジタルマップの普及にあるとの事なの
だそう。
5メートルメッシュの標高データが、誰でも利用・加工出来る
ようになり、今迄の地形図では分からなかった、細かい地形の
凹凸が、分かるようになり、面白い地形を誰でも発見する事が
出来るようになったのだそうである。
そのような地形を「微地形」と呼んで熱心なマニアが存在する
深い世界が展開しているんだそうである。

どこの趣味の世界でも奥深いものはあるものである。




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