バジルライス

NO,003

■ バジルライス

世の中には、バジルライスなるものが二種類存在する。
ひとつは、イタリア料理でバジルが入った炒めご飯。もうひとつが東南アジアでの玉子焼きが
乗ったもの。今回ご紹介する無量庵風バジルライスは、どちらかと言うと後者に近いのだが、
東南アジア風とは似て非なるものである。

世の中には、ハーブ中毒というのがある。例えば亀虫を潰したような嫌な臭いのする香草。
最初は、何だ?と思うのだが、そのうち中華風お粥にこれを入れないと気が済まなくなってくる。
例えば麻。これは二種類の中毒があって合法的な中毒と法律で罰せられる中毒がある。
UKIは、実はかなり麻中毒である。と言っても合法的な麻中毒の方ですよ。

東京の下町に、幼い頃からすごしていた方ならお分かりかもしれないが、江戸時代から続く、
複合スパイスの老舗が浅草にある。元々は、漢方薬を商うこの店、その材料を混ぜ合わせ販売
して江戸っ子の定番スパイスと相成った。同じようなものは、UKIの知る限り京都と長野にもある
が、呼び方が違う。東京は「七色とんがらし」けっして「七味唐辛子」ではありません。
気の短い江戸っ子と蕎麦屋で食事をしたとする。そこで
「そこの七味唐辛子取って下さい。」
なんて言ったものなら、
「七味唐辛子?〜なもんはここにはね〜よ。このすっとこどっこい。おととい来やがれ〜!」
こんな啖呵が返ってきます。
この「七色とんがらし」UKIも大好きでして、よく浅草に買いに行きます。
で、その時「麻種多めね」とオーダーするのである。ここ浅草では、客の好みにブレンドして
くれる。ちなみに京都でも長野でもブレンドしてくれません。ここだけです。

ところで、バジルライスと七味唐辛子どんな関係があるの?と、ここまで読んで頂いたあなた。
しょうもなく長い前触れにお付き合い頂き、ありがとうございます。何が言いたかったというと、
ハーブはこのように人により、妙な習慣性を伴う事があるという事を言いたかったのである。
で、このバジル、UKIはお中元代わりにお手製バジルソースを配っているのだが、毎回催促を
される。ひょっとしたら特に好きでは無いがお愛想で言って頂いているかもしれないが、もし嫌なら
遠慮されるとも思われる。これは、UKIの周辺のかなりの方がバジル中毒に冒されていると考えて
るのが正しい。
そんなバジルを使った簡単B級丼が、無量庵風バジルライスである。

☆ 素材:
食用油
唐辛子
玉子
乾燥バジル
ご飯
バジルソース
ウスターソース
キャベツ
ケチャップ

作り方:
@ 深めに鍋に食用油を熱し、そこに唐辛子と玉子を入れる。本当のフライドエッグを作る。
A 玉子が浮いてきたら、乾燥バジルを玉子の上に振掛ける。
B 温かいご飯を丼によそい、バジルソースとウスターソースを入れご飯とよく混ぜる。
C ここに千切りキャベツを乗せてケチャップを掛ける。
D 揚った玉子と唐辛子をその上に乗せて最後にウスターソースを掛ける。

玉子から油がご飯に沁み込んで炒めご飯風になります。なにより簡単ものの3分で出来る。
ちなみに世の中にバジルライスなるものが存在する事を知ったのは、考案した後である。










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