塩辛

NO,024

■ ○彦の塩辛

伊豆のとある町、駅から数分の国道沿いにそのお店はある。
似たような魚屋が並んでいるので、もう何年も通ってるもののいつも迷う。
店の名を確認して塩辛を買う。買うのは3個。冷凍しておけば3ケ月は持つ。
冷蔵庫では2週間は持つが、口を開けたら数日で食べなくてはならない。
冷凍されたその塩辛をクーラーボックスに入れて帰りひとつは冷蔵庫にふたつは冷凍庫へ。

まず冷蔵庫に入れた塩辛は3日で無くなる。久しぶりに食べるその味がこたえられない。
なくなると冷凍庫からひとつ取り出す。これは、じっくりと味わう。最後のひと瓶は、次の伊豆
行きの予定が決まってから取り出す。

この塩辛、まったくの無添加である。使っているのは烏賊と塩だけ。
ごくごく当たり前、余計な事はまったくしない正味の塩辛である。
こんな塩辛、他に見た事が無い。また味も他の市販の塩辛とまったく違う。
だから、無性に食べたくなる。

好きな食べ方で極めつけは、お茶漬け。
かなり癖のある味と香りだが、海の町で幼い頃に育った人間としては刷り込まれた感覚で
ある。人間歳を取ると故郷に帰りたくなるのはこんな心境なのだろうか?

この塩辛、毎回仕入れた烏賊の状態や作る時期の気温や湿度など、その日の状態で微妙に
塩加減を変えているらしい。全て手作業で作られている。余計な防腐剤などは使用しては
おらず、数にも限りがある。保管方法も気温10度以下でないと質が変化してしまう。
だから、わかった人だけが買って欲しいし、またあまり知られたくない。
きっと全国にはこのような知られたくないが、大切に継承して欲しい食品がまだまだ沢山
あるんだろうなぁ。



















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空の写真 今月の料理(2005)
今年料理して好評だったレシピを紹介します。(2005年度版です)