蛎雑炊の鍋
蛎雑炊

NO.006

蛎雑炊

 海のミネラルがその身に充実した蛎。生食用の剥き身も12月に入ると値段が
ぐっと下がる。こんな時こそ元気が出る蛎を思いっきり使った蛎雑炊を食する。
至福の時が拡がる。
この蛎雑炊、食べるまでにはちょっと時間が掛かる。
何故なら、濃厚な蛎の味を出すためにはまず蛎鍋を作る必要があるからである。
この蛎鍋をも堪能するからこそ、至福の時が訪れる。これは河豚雑炊でも同じ事、
間違っても誰かに鍋をたらふく食べさせて濃厚な出汁を出させてから一人雑炊を思
いっきり堪能しようという魂胆は駄目である。

☆ 素材
出汁昆布

豆腐

ポン酢・浅葱・紅葉おろし
御飯


作り方
@ まずは蛎鍋である。鍋に出汁昆布を入れて水を張る。
A 鍋を火に掛けて沸騰させる。そこに塩を豆腐を入れる。
B 蛎をしゃぶしゃぶの要領で軽く煮る。
C 煮えた蛎を豆腐と一緒にポン酢・浅葱・紅葉おろしで食する。
D 鍋が白濁して蛎の出汁が出たら、鍋を沸騰させてアクを取る。
E そこに御飯を入れて小口切りした葱を入れて塩を足して味を整える。

美味しい豆腐と半煮えの蛎は、さっぱりとしながらも滋味が口中に拡がる。
日本人に生まれてよかったと感じる鍋と雑炊である。

殻付きの蛎を2年続けて知人から頂く機会があった。
殻を剥く手間が掛かるがこれもなかなかの味であった。が次の年からは、頂き物が
途絶えた。どうしたのかと思っていたら、どうやら蛎に当たったらしい。
それも2年続けてとの事。申し訳無いのと蛎に懲りたのが頂けない理由らしい。
「大丈夫でしたか?」と聞かれ、「いや別に」と答える。
この人の胃袋はどうなっているの?と怪訝な顔で見られる。よく話を聞くと蛎を
殻から外す際、殻を洗わずに剥き身にしていたらしい。
頂いた包装紙には、蛎の殻剥きの要領として必ずたわしで貝を綺麗に洗えと書いて
ある。その通りに下処理したらぜんぜん問題無しだった。
ちなみに蛎に当たると大変らしい。そんな方はこの蛎雑炊の楽しみを理解出来ない
のであろう。人生大事なものをすこし失ってご愁傷さまです。













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今年料理して好評だったレシピを紹介します。(2005年度版です)