いわな
流し素麺

NO.006

■ 蕎麦の旅2006秋

10月28日・29日

昔の農家では収穫を終えた秋、一年の疲れを癒す為に温泉場に湯治に出掛けた。
10日から1ケ月、長逗留してじっくりと温泉に浸かり、癒すんである。
今のご時世、なかなかそんな事は出来ないがやっぱり疲れを取って癒したい。
という訳で秋の真っ只中、「紅葉を愛でつつ蕎麦を喰らう旅」を企画したのである。
今回、まったく農作業はありません。

疲れを取って癒したいと思って出掛けたものの、紅葉の季節、道路は早朝より同じ
ような考えを持つ方々で一杯である。おまけにお約束の如く、高速道路では事故渋滞。
未明からバイクコケるなよ!トラック中央車線でひっくりかえるな!!

おかげで、待ち合わせの道の駅に到着したのが約束より1時間遅れ。
さらに全員が集まったのが予定より2時間遅れである。早々予定が大きく狂う。
今回の参加者は「茨城アイガモ水田トラスト」の面々、総勢7名。お米疲れを癒そうとの
蕎麦の旅である。こんなに渋滞したら癒されるまでにはかなり時間が掛かる。

 今回のルートは、
1日目:
道の駅で待ち合わせ、紅葉の真っ只中をドライブしつつ桧枝岐へ。
ここで養殖場で引き上げたばかりの岩魚を炭火焼きにして食べ、その後は名物裁蕎麦を。
食べたら、蕎麦トラストの話を聞きに地元の農家の方に伺う。
その後は宿に入り、温泉に浸かり宴会。
2日目:
宿を出て、昨日待ち合わせした道の駅でお買い物、南会津の名所「塔のへつり」を見物し、
「大内宿」でまた蕎麦を食べ、美味しいらしいと評判の牧場の牛乳を飲んで帰る。
こんな予定である。

行程表 行程表

早々に遅れをとった我が面々、まずは桧枝岐を目指す。
今年は、なかなか気温が下がらず紅葉もいつもの鮮やかさには今ひとつ足らないものの、
それでも奥深い色合いである。日本の風景とは思えない。ここは道も空いているしね。
で、岩魚である。
とりたては、まったく川魚の臭み無し。ここの岩魚食べると他の岩魚は食べたくなくなる。
次は蕎麦、そばがきと盛りと蕎麦はっとのフルコース。蕎麦はっとというのは平らに延ば
した蕎麦生地を湯掻き、その上に甘いエゴマ味噌を塗って食べる。デザートのようなもの。
水が良いと蕎麦の味もひとしおである。年一回このためにわざわざ横浜の地から5時間も
掛けてやってくるんである。

今回は、蕎麦トラストの話を伺うのが大きな目的のひとつなのだが、2時間の遅れと
先方もこの時期多忙を極めるらしく、お逢いする時間が合わない。
結局、後日資料を送って頂く事とする。お逢いする事が出来なく残念なのと遅れた事が、
大変申し訳ない思いである。

宿はスキー場の中にあるリゾートホテル。スキー場の中にあるとはいえ車で上がれます。
もっとも冬のオンシーズン、未明に雪が降ると急坂の為、チェーンを履いた自動車でも、
牽引して頂かないと登れません。
ここは、リゾートホテルながら大きな風呂がある。おまけに温泉露天風呂もある。
日本ならではのサービスである。
「茨城アイガモ水田トラスト」の面々と大きな声で談笑しながら、ゆっくりと食事を取る。
食べ終わると腹こなしにスキー場の草原を軽く散歩する。満天の星空である。
天の河も見える。流れ星も見る事が出来た。幸運である。日頃見ている星の数の数百倍も
見える為、方角とどの星座かが、まるでわからない。

ぐっすりと休み、朝日を浴びながらの朝食。最高の贅沢だね〜。
もちろん早朝に温泉にひと浸かり、日本人である。オヤジである。

宿を出て道の駅でお買い物。近くのきのこ販売店できのこ汁を頂く。うまいね〜。
名所「塔のへつり」は観光バスと自動車と人の波、いつ来ても凄い。景色もだが人も・・

早々に立ち去り、早くも昼食を食べに「大内宿」へ。
途中、峠の上で地元の産直祭りを見つける。こんなところに人が来るんだろうか?と思う
ような場所でやっている。地元の人の為の地元の人によるお祭りのようである。知ってる
人が来れば良いという感じである。
ここで道草しなくては、何とする!! で、予定外行動、道草である。

野菜・きのこ売ってます。安い!!
今まできのこは買ってはダメと禁止令を出していた家人も、ここのきのこの値段を見て、
OKが出る。もちろん買う。今日の夕食はきのこ鍋だぁ〜。

奥では竹の樋が置かれ、流し素麺の試食をやっている。試食だからもちろんタダ。
我が面々、流し素麺に群がる。割ったばかりの清清しい香りのする竹の樋から、流れくる
素麺を掬い、ひと口で食べる。これがいいんである。
と見ると「茨城アイガモ水田トラスト」の代表、H女史何を思ったのかいきなりしゃがみ
込み、樋の端にある流れ落ちる素麺を受ける笊の中、溜まった素麺を無心に掬って食べて
いる。大胆な行動である。
流し素麺は、竹の樋に流れる素麺を掬って食べるのが作法であると信じるUKIにとって
衝撃的な光景である。まあ、笊の中の素麺も大して味変わらないだろうけどね。

そんな光景を見てか、取材に来ていた地元の新聞社の方が写真を撮っている。
どうやら新聞に載るらしい。我らが来るまで誰も流し素麺を食べる人がいなかったらしい。

で、ようやく「大内宿」大変混雑しています。
駐車場を増やしても、人はどんどんやってきて駐車場に着くまでが大変である。
大内宿の集落よりも駐車場の面積の方が大きくなってしまった。それでも入れない。
食事は有名なお店だと1時間半待ち。中ほどの食事処で入れ替わりのタイミングが合い、
20分待ちで席に着く。
昔ながらの民家の中での食事、大勢のお客さんが蕎麦を食べる姿は、法事の精進落としの
時のようである。

蕎麦を食べ、ここ「大内宿」でじっくり見物したおかげで夕刻が迫ってくる。
美味しいらしいという牛乳を飲みに行くのは中止。渋滞を避け、大回りで常磐自動車道を
抜けて帰途へ着く。
次回の「蕎麦ツアー」は「新緑を愛でつつ蕎麦を喰らう旅」の予定、来年です。














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地の巻 ● 伊豆の棚田
海がきれいで、米と野菜と魚料理がおいしい伊豆の民宿に通ってもう20年。
その海と大地を守っていた棚田が荒廃していると聞いたのが2001年の夏。
交流を兼ねた「棚田オーナー制度」が発足しました。その棚田のご紹介です。